2022年9月25日日曜日

荒島岳 最尻谷川(仏御前の滝)

 






荒島岳には知る限り大きな滝が3つある。まぼろしの大垂、仏御前の滝、八反滝である。その中でも仏御前の滝は最も高差はあるが登るのは易しい。水線はツルツルのスラブかつ水量豊富で取り付く島が無いので藪を絡めながら左岸から登った。難しくないし、藪でしっかりと支点が取れるのでリラックスして楽しめるだろう。滝の上は予想した通りのガレが堆積した渓相であった。一定傾斜の地形であっという間に標高が上がり息もあがる。荒島岳の山頂は物凄い人で百名山パワーに驚嘆するだろう。稲刈り時期だったので黄金の大野の町並みが素晴らしかった。

滝を登った後に山頂を目指さなければ、その日のうちに八反滝に取り付ける。もう一日でまぼろしの大垂を登れば週末で荒島の大滝が全部登れちゃう!でも山頂へは行きたいよね。

<アプローチ>
仏御前の滝の駐車場に駐車して遊歩道をあるいて滝の目の前から入渓。下山は勝原登山道を利用して国道を歩いて戻る。

<装備>
カムは#0.3だけ使用。スリングのみでも多分何とかなる。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。残雪とオロロのシーズンはお勧めしない。

<博物館など>
白山恐竜パーク白峰:福井の恐竜館より鄙びていて風情がある。展示は普通。公園が併設されていて子供は楽しい。川の対岸に手取層の化石帯が露出しており観察可能。博物館のイベントで採集もしているようだ。

竹田川 水上谷

 















加賀市の大聖寺川と坂井市の竹田川。この二つの河川でする沢登りは内容がよく似通っている。ケイ酸豊富な硬い岩盤が露出した渓相は美しく、シャワークライミングでガンガン登っていく。どちらの流域を甲乙つけがたく、さながらカストルとボルックス。二つで一つと考えて楽しもう。

水上谷は1045mの南丈競山に北面から突き上げる谷である。遡行内容は下流の小倉谷に比肩するがこちらの方がガッツリシャワークライミングする印象である。とにかく楽しい小滝が川原を挟むことなく連続する。あー楽しいなぁ。おはしゃぎモードだと時が過ぎるのが早い。飽きる間もなくあっという間に山頂に達する。山頂の少し手前に草付き要塞状の滝があるがこの景観は他では見たことが無く不思議な滝で実によかった。下降するユーゼン谷もナメが美しい谷で退屈しない。

竹田川の支流はどこを登っても楽しいのだろう。ちょっと沢登りを経験したら遡下降を含めた水上谷へ行くと一気に虜になること必至である。

<アプローチ>
竹田川横の林道は意外に健在で釣り人に多く利用されているみたいだ。水上谷出合いに駐車して本流を渡り入渓。下山は丈競山を少し南に降りてからユーゼン谷を下降する。ユーゼン谷は懸垂下降も要らずに快適に降りられる。ナメが発達した美しい谷で降りるのも楽しい。

<装備>
スリングのみでOK。沢慣れしていればロープの出番はないかも。足回りはフェルト

<快適登攀可能季節>
6月~11月。標高が低いので新緑の季節から紅葉の晩秋まで楽しめると思う。

<温泉>
山中温泉:下山後は総湯菊の湯をおすすめする。銭湯風の公衆浴場で石鹸は持参する必要があるものの、440円とリーズナブル。男女は別建屋となっている。

<博物館など>



栢野大杉:菅原神社に鎮座する巨木で推定樹齢は2300年。山中温泉を称えた芭蕉もこの巨木を拝んだ事だろう。源平合戦に関する逸話があり、そのいわれのある草団子が直ぐ横の茶屋で販売されている。素朴な味で大変おいしい。この茶屋では他にジェラートも販売しているがこれも旨い。

観音院加賀寺(旧ユートピア加賀の里):ハニベ岩窟院と並んで石川が誇る弩級の珍スポット。加賀温泉駅からも望むことが出来る巨大菩薩がある場所。訪れたのは大分前だが既に廃墟感があった。金ぴかの観音の中は階段があって登ることが出来る。千手観音が千体?ある部屋は圧巻。今も現存する施設かは不明。

富士写ヶ岳北面沢(仮称)









 サッカーがフォワード11人で成り立たないように、沢登りもハードなゴルジュや難しい滝登りがずっと続く谷ばかりでは、毎週楽しめる遊びではないだろう。大聖寺川流域の沢登りの楽しさそして苔と森の美しさは素晴らしい。そして山が小さい事が幸いしてどんなコンディション、どんなメンバーとも味わえるという便利さもある。

 富士写ヶ岳北西面に突き上げる沢を登ったのだが、この沢の名前が分からなかった。下山して大聖寺町の郷土史を調べても分からずでとても寂しいのだがここでは仮称とする。登り始めてちょっと藪ぽくて心配になるがやがて小滝が小気味よくあらわれて一安心。全然難しくなくひたすら楽しんで登っていく。標高600m付近で見た目で直ぐに核心と分かるチムニー状の滝が現れる。登るのは難しくないのでカムで支点を取りながらシャワークライミングをエンジョイしよう。これを登り終わると後は難しい滝もなく、美しいブナの森の登山道へと出る。ぶなが綺麗なので次は新緑の時期にきてみたい。

<アプローチ>
我谷登山口の入り口となる吊り橋手前に駐車する。吊り橋を渡って入渓して我谷登山道を利用して下山。

<装備>
カム少々、足回りはフェルト

<快適登攀可能季節>
6月~11月。標高が低いので新緑の季節から紅葉の晩秋まで楽しめると思う。

<温泉>
山中温泉:下山後は総湯菊の湯をおすすめする。銭湯風の公衆浴場で石鹸は持参する必要があるものの、440円とリーズナブル。男女は別建屋となっている。

<博物館など>



栢野大杉:菅原神社に鎮座する巨木で推定樹齢は2300年。山中温泉を称えた芭蕉もこの巨木を拝んだ事だろう。源平合戦に関する逸話があり、そのいわれのある草団子が直ぐ横の茶屋で販売されている。素朴な味で大変おいしい。この茶屋では他にジェラートも販売しているがこれも旨い。

観音院加賀寺(旧ユートピア加賀の里):ハニベ岩窟院と並んで石川が誇る弩級の珍スポット。加賀温泉駅からも望むことが出来る巨大菩薩がある場所。訪れたのは大分前だが既に廃墟感があった。金ぴかの観音の中は階段があって登ることが出来る。千手観音が千体?ある部屋は圧巻。今も現存する施設かは不明。

2022年9月19日月曜日

海川西俣左沢

 















 剥き出しっていうのは安心感がある。剥き出しの感情、というと幼稚であることを揶揄ような風だが、そういうのは寧ろ分かり易くていい奴なんじゃないかと思う。高笑いする悪と無表情の正義どちらが恐ろしいだろうか。自然というのは剥き出しそのものなので心よい。頸城山塊、特に海谷の渓谷の一見して邪悪な雰囲気は笑っちゃうくらい直接で可愛らしい。海川西俣左沢もツッパリ感はあるが愛嬌溢れるいい子であった。

 海川西俣左沢は謎多き谷である。地形図での書きっぷりがおぞましいこと、シネマスコープ滝という何を示しているのか良く解らない名称、海谷というブランド、幾つかの理由が重なって行く人が少ないのだろう。西俣右沢を分けてから土砂に荒れまくった川原が続く。1450m付近は右岸ルンゼからの雪崩によるスノーブリッジが現れる。地形図の滝マークがあるところがシネマスコープ滝である。シネマスコープとは幅広の画角の事を指すようで広角で3つの滝が広がる姿を現している。本流の滝左壁から直登をトライしたが、諦めて一番右の滝段々から上がり、本流へと戻る。直ぐに二俣となり、左俣へ入るが直ぐに水が涸れている。集水面積が微妙に少ないからかと思い、右俣へと入るがこちらも直ぐに涸れる。谷の中は土砂で覆われて秋の渇水では伏流してしまうのだろう。想像だにしない展開に嬉嬉。これでこそ来たかいがあったものだ。ちょっと寂しいが涸滝をぐいぐいとクライミングしていく。登山大系の遡行図を確認すると全然合致していない。泥岩質のつるつる滝を注意して登っていくと次第に容易な詰めとなる。笹薮の熱烈な歓待を咆哮で歓喜しつつ稜に上がり、反対側の登山道を見つければ一安心である。ほとんどが川原歩きで技術的な困難度は高くない。西俣左沢だけを目的とすると物語性がなく勿体ない。東側の真川、南側の中谷川といった渓谷を織り交ぜた継続遡行の一環として取り組むのが好適である。
 
 剥き出し推奨論者なのだが、山楽しいよ!最高だよね!と剝きだした結果、およそ9割は三歩下がっていく。西俣左沢を遡行してはっとした。海谷に遡行者が少ない理由・・・もしかして大方の人は剥き出し忌避論者だったのか。これは作用反作用の法則、それともエネルギー保存則?エントロピーは増大するし、ダークマターは星を創り、宇宙は膨張する。まだまだビッグバンインフレーションスパイラルの途中。当面利上げ局面ではないってことで。

<アプローチ>
山峡パークに駐車し登山道を利用し取水堰堤まで行く。詰めあがると金山に出るが、一泊二日の場合ここからの下山も核心。長駆縦走して山峡パークへ戻るか、海川西俣右沢を下降するのが合理的。車が二台あれば雨飾温泉へ一台デポすることでもう少し楽になる。水が得られて安全な幕営適地は少ない。沢が涸れている1900m付近で泊まったが雨には耐えられない。結果としてもう少し上で水が出てきてもう少し泊まり易い場所があった。

<装備>
登攀具は使用しなかったが、念のためパッシブプロテクション少々、ピトン少々。足回りはフェルト推奨。

<温泉>
糸魚川ひすい温泉:塩泉かつナトリウム泉という温まりながら美肌も謳える贅沢な泉質の日帰り温泉。ちょっと施設は古めだが22:00くらいまで営業しているので遅くなっても入浴可能。ただ、入浴料が時間によって変動するという前衛的なシステムで油断すると1000円となるので油断ならない。

このほか帰りしなならば、朝日町の境鉱泉、たから温泉、ナトリウム泉の温泉がある。500円くらいで入浴可能

<快適登攀可能季節>
8月~11月。例年の雪渓の具合を考慮すると9月以降がベスト。そうでなくとも虫が少なく快適な時期がよい。

<博物館>
糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

塩の道資料館:旧家に塩歩荷に用いられた資材や生活用具が展示されている。塩の道が2通りあり、春夏秋冬人が通っていたことに驚くばかり(牛さんの活躍も見逃せない)。本願寺に奉納する欅を搬出する巨大橇は圧巻。冬は休館するので無雪期限定。

2022年9月12日月曜日

尾上郷川 カラスノ谷

 













尾上郷川にはカラス谷とカラスノ谷という紛らわしい名前の沢がある。登山大系、新北陸の名山いずれもこの紛らわしい2つの沢が白山を代表する名渓と称されている。カラス谷は一度行ったことあるので次はカラスノ谷へ

カラスノ谷に入るまでの道のりは長い。尾上郷川の林道ゲートが閉まっているので石徹白側から入山するのが普通だろう。沢から継続するにせよ登山道を使うにせよカラスノ谷に入るまで相応の時間がかかる。そして実はカラスノ谷、滝を登るなり巻くなりするといった沢登りとしての魅力があるのは1400m~1662mまでの区間でしかない。それでもこの充実感は何故だろうか。

ブナコヤ谷を下降して別山谷に降りると素晴らしい川原で嬉しい。これを小一時間登るとカラスノ谷に入る。以降ちょっとした滝とスラブが現れ始める。1450mからは雪国の典型的なV字ゴルジュとなるが南向きかつ、ブッシュの彩りもあるので前向きなバイブスで行ける。特に序盤は丸々とした礫岩を含む岩がポップな雰囲気の演出にも一役買っている。遡行だが、全く記録を読まずに来たので大きな滝が沢山出てきてびっくり。大きい滝の巻きのライン読みは簡単な部類で川床への下降もフレンドリーな気がする。小滝は概ね快適だったがゴルジュ内の連瀑小滝への入り口は分かり難いかも。1662から難場は無く一気に標高を上げて大平壁へと向かう。草付き交じりをノーロープで適当にいい感じで進む。傾斜は無くて難しくは無いが一発アウトと思うときゃん玉がぎゅんぎゅん。支点が取れないのでノーロープで行くしかない。別山の山頂はいつも賑わっているのが不思議。銚子ヶ峰までは南部白山らしい笹原の楽しい縦走路である。秋真っ盛りが快適で楽しいのだろう。神鳩避難小屋からの登山道はブナ林がとても気持ちがいいし、最後の大杉で締めるという素晴らしさよ。

カラスノ谷の良さはその山登り計画の中に有ると感じた。沢登りらしい箇所は僅かではあるが谷の下降、縦走、スラブ登りと厭が応でも山域余すことなく楽しめるのが嬉しい。遡行突破重視派には物足りないかもしれないが、山全体を楽しめる方には是非ともお勧め。

<アプローチ>
尾上郷川から入山すると車の回収が大問題となるので石徹白方面から入山するのが無難。登山道を利用、倉谷や母御石谷を遡行するなどお好みの方法で稜線に上がる。別山谷へはブナコヤ谷を下降することになる。避難小屋から母御石方面へ向かったコルから下降開始した。雪崩による倒木の多さは閉口するが谷の終盤にゴルジュが出てきて下降に頭を使うのが楽しい。後で先行していた方に聞いたら右岸に使い勝手のよい獣道があり、ゴルジュを高巻いて別山谷へ降りられたとのこと。進捗に叶った幕営適地が丁度良い場所にないのがつらい谷である。1450mからゴルジュ帯が始まるが、この手前の左岸に平らな草付きが有ったので泊とした。上部は薪に乏しくなるがここは問題なかった。

ところで白山中居神社は美濃馬場~白山中宮長滝と繋がる白山禅定道の基地として天長9年(西暦832年)から有るらしい。白山信仰が泰澄によって体系化されたのが西暦717年頃だそう。木曽義仲も参拝したそうな。

<装備>
スリング、カム・ピトン少々。慣れていればロープを必要とする箇所は少ない。アプローチとスラブを考慮するとラバーソールの方がいい。ただし、ブナゴヤ谷はぬめる。

<快適登攀可能季節>
9月~10月 夏は登山道が猛烈に暑いと思うのでやめた方がいい。