2022年8月30日火曜日

ポンクワウンナイ川














初等教育の著しい怠慢のためかカタカナの読み書きが怪しい。カタカナの文書は全然頭に入らず憶えられないし、書く方ではヲやリなんかパッと浮かばず困ることがある。それでも働いてオマンマ食っていけるので日常的に問題は無いのだが、北海道の山を登るのは大変困る。如何せんアイヌ語を直接カタカナ表記した場所が多すぎる。

ポンクワウンナイ川、と偉そうにタイプしているが沢の名前が中々発音で覚えられずgoogleの「★★の検索結果を含めて表示」機能からコピペしたことをまず告白する。この沢に思い入れがあったわけではなく、日高の天気が悪かったので前日に行先を決めたことも有り未だに発音記憶できない。

ところがどっこい沢の内容は素晴らしい。クワウンナイ川と流れを分けてからの川原の側壁は凝灰岩や柱状節理が発達していて楽しい川原歩き。標高798m地点からゴルジュに大滝、小滝とアトラクションが展開してくる。ゴルジュでは人工登攀を強いられるが残置を利用すれば難しくはない。使わなくてもネイリングで対応可能である。以後の登りそのものは難しくないが、2つの20m~30m程度の大滝巻きで嗅覚が冴えないと思わぬ時間ロスを食う可能性があると感じた。北陸の山で培ったルーファイであれば全く問題ないはず。1300mくらいから赤い岩盤の苔ナメが長ーく続く。白山は石徹白川初河谷に似た渓相があるがその長大スケールバージョンである。詰めも不快さは一切なくお花畑に癒され背後の雄大な景色を楽しめる。小化雲岳の稜線に出て景色が望めれば絶景である。筆者らは直ぐに雨が降ってきてトムラウシまで行けなかったが、さぞ素晴らしいのだろう。カウン沢を下降してクワウンナイ川本流へと継続、そしてトムラウシ川方面へ下降して地獄谷温泉入湯。更にパンケトムラウシを登って下山など大雪山山系だけでも相当楽しめそうである。

このままでは北海道の沢を登っても覚えられず、全てあの楽しかった沢となってしまう。一層カタカナ発音難易度が高い日高山域を訪れるまでにはカタカナをマスターせねばならない。

<アプローチ>
富山から北海道への移動は時間はかかるが新日本海フェリーの航路を推奨したい。車に適当に荷物を積み込んで新潟港から出港してしまえば気楽な船旅でいい。到着地は小樽又は苫小牧となるので行く場所に応じて選ぼう。クワウンナイ川へは清流橋の近くの駐車場に駐車して林道跡を歩いて入渓する。クワウンナイ川へ入る人向けの注意事項が記載された看板が有るのですぐわかる。幕営地は1200~1250m付近が良いだろう。1300mを越える上部が草原とお花畑となっており薪が集めずらい。天人峡へと下山する登山道は一部整備がされておらずやや藪っぽい。全然歩けるけど水が流れている箇所も多く沢靴のまま下山が吉。ちなみに登山道沿いの第一公園付近の湿地帯は綺麗だし、二見川とアイシホップ川の羽衣の滝は美しい。中々楽しい登山道である。

<装備>
念のためピトン少々。

<快適登攀可能季節>
7月~9月。北海道の気候は全く存じませぬが感覚的に

<博物館など>
旭川市博物館:アイヌ文化、旭川市の歴史、北海道の自然がバランスよく展示された素晴らしい博物館。縄文から擦文時代、そしてアイヌ文化へと移行する解説と上川地方のアイヌの生活が再現されたジオラマが秀逸。自然展示は北海道全域がバランスよく紹介されている。

北海道博物館:北海道120万年まえから遡り紹介する人文系に力を注いだ博物館。旭川博物館に劣らず、古代、中世、近世から現代へと歴史を俯瞰できる展示で物凄く面白い。ただ、順路を辿り最後の展示となる自然系のショボさが際立つぞ。

美瑛岳 アバレ川

 







旅はいいものだ。新しい土地を歩いていると新しい発見ばかりで飽きることは無い。とはいえ、筆者は中部地方以外で山登りは殆どしたことが無く最高国内最北到達点は谷川岳という体たらくの野暮天である。このままでは風雅の何たるかを解さぬ意固地なおやじになるのは必定。この状況を打開するには可及的速やかに旅を行うことが妥当であり、その行先は総合的観点から北海道へ向かうこととした。

越中で暴れ川というと常願寺川なのだが、ここは美瑛岳のアバレ川。ルートガイドを読むと(登山大系以外久しぶりに読んだ!)ディズニーランドだか遊園地だかに形容されている。筆者はどちらも生涯通算0回であるので、アバレ川に行けばディズニーランドが如何なるものか解することができるとのことで大いに期待が高まった。地形図で見ると穏やかな渓相が予想され本当に沢登りが楽しめるのか怪しく見えるがはて。

入渓して直ぐにアバレ川の特徴に度肝を抜く。川床の砂が常に流れているのだ。これまでこんな沢行ったことないなぁ。白銀温泉付近の地形は成層火山が故のかと思うが土砂堆積作用によって平坦化しているのかもしれない。渓相は安山岩の溶岩や凝灰岩の岩に緑色のコケが良いアクセントとなって美しい。沢登りも平坦かと思いきや意外に小滝が多くて登りも楽しめる。そういえばエゾマツを主とする森だからか谷の匂いも全然違うぞ。ちょっと巻き道に入ると松茸が取れる。むちゃ楽しいぞ。勝瑛の滝を越えると登山道が合流する。多くの人はこの登山道から下山するようだが、折角なので美瑛岳から十勝岳へと縦走しよう。美瑛岳では岩場からナキウサギの鳴き声が聞こえて北海道に来た!というムードがさらに高まるのは必至である。さらに十勝岳の圧倒的火山風景には口あんぐり。ディズニーランドの何たるかを北海道で知ることができて大満足。ロープも持たず登れるので多くの人が楽しめる良渓。

<アプローチ>
富山から北海道への移動は時間はかかるが新日本海フェリーの航路を推奨したい。車に適当に荷物を積み込んで新潟港から出港してしまえば気楽な船旅でいい。到着地は小樽又は苫小牧となるので行く場所に応じて選ぼう。アバレ川へは少年自然の家から少し林道を入ったゲート手前に駐車して少しだけ林道を歩き適当なところから川へと降りる。下山は登山道を使用するが望岳台からの登山道も意外にしっかりしており問題ない。

<装備>
沢慣れしていない人がいてもロープは要らないと思う。ラバーソールでもOK

<温泉>
白銀温泉:いくつも温泉があるが、筆者は最も安い国民保養センターに入湯した。300円也。石鹸などは事前に準備が必要ではあるが雰囲気も面白くお勧め。

<快適登攀可能季節>
7月~9月。北海道の気候は全く存じませぬが感覚的に

2022年8月8日月曜日

虫川本流

 







何度でも述べさせていただきたく存じますが、頸城の山は面白い。物凄く近い山域に高圧変成した古い時代の岩、火山の岩各種が混在しており、岩質が変わると遡行内容が豹変することがある。小さな流域で色々な渓相が楽しめると贅沢な気持ちになれる。

頸城の山の中でもお気に入りなのは黒姫山、千丈峰、明星山周辺だ。山域と言っていいのか分からないくらい小さな部分なのだが濃度が凄い。その中でも不動滝を有する虫川は綺羅星のごとく現れる岩々に心ときめく。不動滝は下部は海底火山の火砕流みたいな岩、中盤から上部はチャートで泥くさ大滝登攀が楽しめる。その上の渓相も姫川コンプレックスと呼ばれる堆積岩はメランジ様を呈しており、チャートや緑色珪長質凝灰岩そして泥岩が合わさった宝石のような滝が面白い。真っ赤な岩の直後にマーブル模様の滝が現れて度肝を抜く。気分上々でスキップしながら川原を歩くと標高550mくらいでのっぴきならないゴルジュになってくる。ここは安山岩質の溶岩や凝灰岩からなるようだ。ヒヨドリ池に行きたいと思い立ちぶらぶらしに来たのに想像の5倍以上の難物ゴルジュである。巻きあがって上部を観察してからシャワーボルダリングで体を冷やして戻った。

標高620m付近まで越えればあとはゴルジュ川原になりそう。秋の紅葉シーズンに今度こそヒヨドリ池を目指すべく気合を入れて臨みたい。


<アプローチ>
青海から行くならば岡倉谷林道を利用する。千丈峰の大ギラ、小ギラ、中ギラのスラブを見物しながらの運転は楽しい。ただ、ちょっと運転距離が長くなるので虫川集落から行く方が合理的かも。ヒヨドリ池からはアサギリ沢を下降して林道を歩いて帰るか同ルート下降。

<装備>
カム少々、ピトン数枚、足回りはフェルト

<温泉>
帰りしなならば、朝日町の境鉱泉、たから温泉といったナトリウム泉の温泉がある。500円くらいで入浴可能

<快適登攀可能季節>
7月~11月。虫が少なく快適な時期がよい。秋の紅葉がいいと思う。

<博物館>
糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

常願寺川 マムシ谷

 




常願寺川マムシ谷。これは国土地理院地図はもちろん、エアリアにも名称が記されていない谷である。小さな沢の谷の名称を調べるのは難しい。図書館で調べても分からないことが多くて難儀する。現地に赴いて橋脚に示されている場合や工事看板に示されている事が多いので注意して歩こう。マムシ谷の特徴は下部は粘土みたいな花崗岩破砕帯、上部は溶岩流のようなスラブ状を呈するところ。ただ、土砂の堆積が物凄くあっという間に水が枯れてしまうのが寂しい。雨裂マーク手前で水が消えて斜面を上がることになるが、意外に藪が薄いので我慢して登ることができる。率直に言えば沢登り的には訪れる理由が乏しい。美女平散策と併せて楽しむのがいい。

<アプローチ>
マムシ谷は常願寺川と500m付近で合流する支流。立山駅から砂防工事用道路を歩く。この道路は早朝に抜けないとならない。工事責任者と出会ったら最後、強制送還の憂き目に会うだろう。現場の方には挨拶をしよう。

<装備>
カムが有ったら使える。岩は中々の脆さ。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。南面で標高も低いので早い時期から楽しめそう。

<温泉>
ホテル森の風立山、吉峰グリーンパーク

<博物館>
立山博物館:別館まんだら遊園の異空間を一度は味わってほしい。
カルデラ砂防博物館:いい。僕の好きな治水の恩人ヨハネスデレーケの展示もある。

常願寺川 大谷



常願寺川は左岸、右岸ともに中々魅力的な沢登りエリア。左岸の大迫戸谷、カラ杉谷は2000m急に突き上げるピリ辛渓谷。右岸の鬼ヶ城谷と熊王清水谷(仮称)なんてのも良かった。さて、右岸でヤバい雰囲気のある谷といえば大谷と桑谷が代表格で間違いない。大谷の核心部は750mから始まる大滝だろう。この滝は直登は難しく、左右の壁にも弱点が乏しい。大きく高巻こうとしても、どこかで岩壁に当たり苦しい。スラブでフリーが苦しいのでブッシュを使った人工で何とか抜けることになる。偵察気分で訪れていたのにハードな雰囲気。暑くてのどが渇いてきたので大人しく懸垂して降りた。大高巻きしても谷に戻れるのかは分からないけど、涼しくなったらまた行こう。

<アプローチ>
大谷は常願寺川と543m付近で合流する支流で上部に滝マークが示されている谷。立山駅から砂防工事用道路を歩く。この道路は早朝に抜けないとならない。工事責任者と出会ったら最後、強制送還の憂き目に会うだろう。現場の方には挨拶をしよう。

<装備>
カム、ピトン、岩は中々の脆さ。あぶみとクライミングシューズが有るといい。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。南面で標高も低いので早い時期から楽しめそう。

<温泉>
ホテル森の風立山、吉峰グリーンパーク

<博物館>
立山博物館:別館まんだら遊園の異空間を一度は味わってほしい。
カルデラ砂防博物館:いい。僕の好きな治水の恩人ヨハネスデレーケの展示もある。