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2026年7月5日日曜日

金木戸川 尻高谷

 




 尻高谷は花崗岩の谷で土砂が多い。いい雰囲気の森なのだが早く水が涸れてしまい藪が濃くなる。これを頑張って詰めるのはしんどい。かといって本流だけで終わると寂しいので支沢をぶらぶら詰めてみて遊んで帰るのがいいだろう。他の沢や天蓋山ハイキングと組み合わせればいい休日となろう。

<アプローチ>
尻高に架かる橋を渡り広いスペースに駐車させてもらう。林道を歩いて適当なところから入渓。私有地なので謹んで入山したい。下山は同ルートか周遊して下山するのがいい。
 
<装備>
多分沢靴以外特に何も要らない。

<快適登攀可能季節>
5月~10月 雪が少ないので春から楽しめる。秋は他の山域も楽しいので総合的に5月が最高だと思う。

<博物館>
上宝ふるさと歴史館:民具、播隆、円空、縄文土器、郷土の偉人と筆者の大好物が揃った歴史館。岐阜県内の歴史館と比べると施設自体が新しく綺麗である。どの展示も推したいがやはり高原郷の夭折した傑物、本郷村善九郎の伝記が最大の見どころ。大原騒動における胆力のある対応はティーンエイジャーの成せる業ではない。辞世の句も秀逸。

<温泉>
割石温泉

2026年6月15日月曜日

金木戸川 葡萄大谷左俣









 金木戸川の上流域は興味深い渓谷が多い。翻って下流域はというと直線的で一様な傾斜な谷が多く遡行意欲はあんまり沸かない。そんな下部で最も面白そうなのは葡萄大谷であろう。葡萄大谷は左俣と右俣が序盤で分かれるのでどちらも楽しめば2度おいしい谷である。特筆すべきは森の美しさでサワグルミとトチの天然林は明るく爽やかで癒しの時を過ごすことができる。

 左俣に入ると直ぐに連瀑帯となる。登るのはとても難しそうな雰囲気なのでおとなしく高巻く。巻きはそんなに悪くない。右岸を高巻いていたら驚くことにトラロープが張ってあった。山仕事か釣りであろうか。連瀑帯が終わると谷は一気に落ち着いた雰囲気になる。1250mの平らなところまではゴーロを基調としつつも沢登りらしい小滝も出てきて楽しい。危なさや難しさは無いので気楽に登れるのがいい。1250mには地図には示されていない下佐谷へと通じる林道が横切る。一旦杉の植林となるが直ぐに元に戻る。苔むした岩の周りは山葵が群生しており有難くいただく。筆者らは1440mを左俣へ入り金木戸川へ下降したが、藪漕ぎは最後の高差50~70m程度でそこまでひどくなかった。下佐谷方面へ降りてみるのも面白そうだ。

 同じ行程を日帰りすることもできるがそれは勿体ない。葡萄大谷の魅力はのんびり行程で山の恵みを感じることにある。富山の渓谷に漂う登山者を拒む雰囲気はなく、身体が自然に馴染んでいくのが気持ちいい。こんな渓谷が市内から一時間ちょっとで行けるのというのは実にありがたいことだ。

<アプローチ>
双六ダム手前に駐車して歩いて葡萄大谷出会いまで行く。双六ダムはR8年まで工事中のため工事実施日は上流に車を入れる事が出来ない。昔は金木戸川の上部まで林道が入れたものだが、今はゲートは解放されていないし、鍵は割合厳重。葡萄大谷左俣は穏やかで幕営場所に困ることは無い。薪が豊富な適当な箇所で泊まればいい。筆者らは1804mピークの東肩コルより金木戸川へと下降した。下降した沢は1220mと金木戸川合流手前50mに大滝と連瀑となっているが難しい下降ではない。

<装備>
筆者らが登ったラインであれば登攀具は不要。懸垂用にロープ

<快適登攀可能季節>
5月~10月 高原川流域にアブはあんまりいない気がする。

<温泉>
割石温泉

<博物館など>
江馬氏館跡公園:江馬氏は室町時代~戦国時代に北飛騨地域を治めた豪族武将である。その時の武将が室町時代に命じて作庭させたのが会所庭園である。来客をもてなす為に作られた石庭は失礼ながら地方豪族が設計したとは思えない瀟洒さで都の風を感じる。作庭費用は鉱山で得た資金を投下したのであろうか。飛騨が天領となった元禄以降は田に埋められてしまったが、昭和に発掘され再現されている。すごくいい庭なのにお庭を眺めながらお弁当を食べられるというフレンドリーさよ。

高原郷土館:鉱山資料館、神岡城、旧松葉家と3つの博物施設が集まった公園。神岡城内では神岡の歴史を概観でき、鉱山資料館では昭和における採掘~精錬までの工程をビデオで学習できる。鉱山資料は少し情報が古いものの鉱業の現場を知ることができるので貴重。そして最も推したいのが松葉家。神岡に現存した合掌造りで農具、山仕事道具(刃物含む)養蚕具が3階建ての中に所狭しと並ぶ。背の高い人は上階で頭をぶつけないように注意。
なお、近現代の生活に関する書物は「奥飛騨山郷生活文化の記録」が面白く、土木開発については「土と木と水と人と : 建設概史」が概観にふさわしい。どちらも国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可


2026年6月8日月曜日

飛騨川 黍生谷

 













 乗鞍の谷は困難を求める遡行者には向かないが逍遥好きにはお勧めできる。美しい森と苔の谷を歩き鳥の声を楽しみつつナメを登る。イワナと遊んでもらうのもいい。余裕を持った行程を組んでゆったりと過ごすのである。

 黍生谷はゆったり沢旅の筆頭に挙げてもいいだろう。近年の集中豪雨によって乗鞍の谷の多くが荒れた。黍生谷の被害は小さかったようで穏やかな渓相を保っている。標高2000mまでは沢登り的に特筆することは何もない。嘶くような駒鳥の声と朗々と歌い上げるミソサザイの声を聴きながらしっとりと天然林を歩く。筆者らが訪れた6月は食べごろの行者にんにくが自生しており有難くいただいた。2000mで大滝が現れるとナメや小滝が現れ始めて爽快だ。最後はハイマツの森が現れて面食らうが直ぐに低木となり歩きやすくなる。天気と時間が許せば乗鞍山頂へ向かおう。登山道には石仏が安置されており旅情を醸す。どのような行程を選択するにせよ帰路は安楽ではないがこれも谷が静寂を保つことに一役買っている。

 遡行は難しくはないけれども登山として登り降りするには相応の力がいるのも事実ではある。適当に入渓して動植物を眺めてのんびり過ごして戻ってくるという関りもいい。

<アプローチ>
黍生谷右岸についた林道のゲート前に駐車して適当なところから入渓。シンプルに遡行して稜線に上がる。幕営可能箇所は多いがやや決定打に欠ける。筆者らは1800~1850mの区間で幕営したが、2000mを超えても適当なところはある。下降は色々考えられるが筆者らは車を一台デポして塩蔵川左俣とした。左俣上部はナメや30m大滝なども出てきて中々面白い。本流も右俣合流後しばらくするとスケールのあるナメが綺麗だ。





1480mから林道に上がったがこれが失敗で林道は車が通っておらず結構藪が濃い。それだけならよかったのだが、途中で大きく崩壊した箇所が2か所ありこの通過が危険極まりない。この状況ではおとなしく最後まで塩蔵川本流を下降したほうがいいだろう。

<装備>
登ることに関してはロープは要らない。沢を下降する場合用に懸垂下降用のロープくらい。

<快適登攀可能季節>
6月~10月 南面なので雪の少ないシーズンならば6月から行ける。

<博物館など>
千光寺:円空ゆかりのお寺で作品を豊富に所有する寺。定番の不動明王はもちろん、宇賀神や水神もいい。しかし、千光寺保有の円空仏といえば鬼気迫る傑作の両面宿儺であろう。円空仏のなかでは複雑で力強く彫られており印象深い。

2026年5月31日日曜日

高原川 下坪谷

 




 ご存知の通り高原川の右岸と左岸では谷の雰囲気が異なる。左岸は溶結凝灰岩や溶岩が流れたようなところが比較的多いが右岸は花崗岩みたいな岩が多い。沢上谷と苧生茂谷が左岸の代表的な雰囲気の谷で下佐谷や金木戸川が右岸の代表と思って差し支えない。総論では何とでも語れるが本質は各論に潜む。やはり細かな支沢を登らねば判らない。
 
 下坪谷は里の沢で護岸された沢が続く。杉の植林もされておりここは林道を歩いて進む。林道が途切れてからはサワグルミの巨木が綺麗な花崗岩の谷でゆったりとして過ごす。後半は溶岩系の大きなナメが出てきてこれもいい。下降した井ノ口谷は花崗岩の谷で小さいためか水が流れていない。植林の伐採で工事車両が出入りしているのだろうか、綺麗な林道を歩いて戻った。4時間程度のほどよい周遊であった。

 井ノ口谷を下降するよりも適当なところで引き返して森林浴を楽しむ方がスマートな谷だろう。日頃の疲労を癒す森林浴散歩ピクニックにぜひ。

<アプローチ>
尻高に架かる橋を渡り広いスペースに駐車させてもらう。林道を歩いて適当なところから入渓。下山は井ノ口谷として林道を挟まない支流を詰め上げた。藪は大したことない。井ノ口谷は林道に合流するまで水が出なくてつらい。水量が少なく魅力を感じなかったので林道をそのまま歩いて車に戻った。
 
<装備>
多分沢靴以外特に何も要らない。

<快適登攀可能季節>
5月~10月 雪が少ないので春から楽しめる。秋は他の山域も楽しいので総合的に5月が最高だと思う。

<博物館>
上宝ふるさと歴史館:民具、播隆、円空、縄文土器、郷土の偉人と筆者の大好物が揃った歴史館。岐阜県内の歴史館と比べると施設自体が新しく綺麗である。どの展示も推したいがやはり高原郷の夭折した傑物、本郷村善九郎の伝記が最大の見どころ。大原騒動における胆力のある対応はティーンエイジャーの成せる業ではない。辞世の句も秀逸。

<温泉>
割石温泉

2026年5月24日日曜日

高原川 チカツエ谷

 











 高鳥屋山(たかんとやま)は飛騨百山として長倉集落で親しまれている山。のはずである。以前から登ってみたい山であったが富山からの微妙な距離間、山頂へ至る沢は友達と行くには微妙であったために後回しに。やがてすべての波が重なり、チカツエ谷から山頂を目指した。
 チカツエ谷の出合いは取水口までの道が続いている。ここから杓子の岩屋という播隆が修行したと言い伝えられる岩屋へ向かうこともできる。入渓すると直ぐに小さな連瀑となって滝横をてくてく登る。歩道が左岸についているが気にしないことにしよう。以後序盤から中盤は植林の中を淡々と歩く。途中で岩屋とも洞窟ともつかない謎の構造をした岩を見つけて大興奮。細長く奥まっており寝る空間は確保されていた。将来居住地に困ったらこの岩屋に入ることに決める。岩質は沢上谷と同じだが少し脆弱な感じがする。登山者も釣り人もいない静かな沢登りが続く。途中いくつか山抜けが起きて流れが変わっていた。終盤は自然林となり一層気分が落ち着く。加えて素晴らしいナメが続くので腰を下ろして緑を味わう。林道を跨ぐと渓相が源頭でぼさぼさし始めたの林道から登山道を経て高鳥屋山を目指す。林道終点の牛首から急な尾根だが楢の新緑が綺麗で気分がいい。山頂からの眺望が今一つであるが、その代わりに長倉集落で古く親しまれてきた歴史に思いを馳せるかとができる。沢登りとしての難易度は無いも同然だが半日のハイキングの充実感としては秀逸である。なにより静かな山であることが嬉しい。

<アプローチ>
下山のことも考慮して夫婦岩の駐車場を利用した。高鳥屋山の林道は基本きれいで現在も使用されているようだ。登山道へ合流する路線だけ少々草が生えているものの歩行に支障はない。登山道は下部はトラバース、コルからは急な尾根となるが地元の方が整備してくださっているのかちゃんとしている。
 
<装備>
多分沢靴以外特に何も要らない。

<快適登攀可能季節>
5月~10月 雪が少ないので春から楽しめる。秋は他の山域も楽しいので総合的に5月が最高だと思う。

<博物館>
上宝ふるさと歴史館:民具、播隆、円空、縄文土器、郷土の偉人と筆者の大好物が揃った歴史館。岐阜県内の歴史館と比べると施設自体が新しく綺麗である。どの展示も推したいがやはり高原郷の夭折した傑物、本郷村善九郎の伝記が最大の見どころ。大原騒動における胆力のある対応はティーンエイジャーの成せる業ではない。辞世の句も秀逸。

<温泉>
割石温泉

2025年8月3日日曜日

青屋川 九蔵川小俣谷















 北陸の盛夏の沢は辛い。標高の低さからくる暑さに加えオロロの猛攻という耐え難きをを耐え、忍び難きを忍ぶ事になるので忍耐力を要するである。忍耐力もひと夏持つわけではないので、避暑というか避虫地で過ごすことが多くなる。アブの密度が薄い信濃大町以南の北アルプスということになる。

 九蔵川支流の小俣谷が好渓であるというのは聞いていたが、富山からの微妙な距離感と短さから機を逸していた。訪れてみればシャワークライミングですべての滝が快適に登れる噂通りの良渓であった。
 出合いから二段15mの滝となるが、弱点の右岸壁を快適に登れる。水量が少ないタイミングで寒さを気にしなければ水流も登れる。しばらくの河原歩きと堰堤越えをこなすと、岩盤が露出し始め俄かに谷の雰囲気が良くなってくる。ここから滝と河原が交互に現れる。滝のサイズが20mクラスが複数出てくることに驚く。ほとんどがロープ無し、または快適なクライミングで登ることができる。直登だけではなく巻きも含めたラインの自由度が高いため、易しくも難しくも登ることができる。水量に合わせた登りもできるだろう。林道終点手前くらいまでは白色の火山岩だが、上部は赤みを帯びた溶岩のような岩になり一層岩盤の露出した渓相となる。そのおかげで沢中は滝とナメが続き最後まで水が流れ快適である。笹の密度は濃いが藪漕ぎ時間そのものは凄く短いので気にならない。稜に出たら青屋道をすたこら降りて帰る。
 林道至近でムードがないかと思いきや、林道は視界に入らず快適な沢登りが楽しめる。クライミングはそんなに難しくは無いので支点構築しながら登れる練習沢としても活用できそうだ。日帰り沢登りとしてはかなり良質な部類なので富山や飛騨地方の方には推奨したい。

<アプローチ>
九蔵川の左岸に走る林道のゲートに駐車して入渓する。シンプルに出合から沢の登り始めて、尾根に出たら青屋道を利用して下山するのが合理的。青屋道が刈り払われていないのであれば、九蔵川側へ降りればよい。

<装備>
#1以下のカム、ピトン各種、ラバーソールでもいいかも。

<快適登攀可能季節>
7月~10月 

<博物館など>
千光寺:円空ゆかりのお寺で作品を豊富に所有する寺。定番の不動明王はもちろん、宇賀神や水神もいい。しかし、千光寺保有の円空仏といえば鬼気迫る傑作の両面宿儺であろう。円空仏のなかでは複雑で力強く彫られており印象深い。


2025年7月15日火曜日

青屋川 九蔵本谷

 




















 山の水たまりには惹かれるというのが人情というもの。湖、池、湿原に池塘が秘めたる神秘は尽きることが無い。池塘と花のコンボが大好物なのでシーズンに一度は訪れたいものである。同じ考えの登山者は多いので容易に行ける7月の湿原は大混雑が予想されるうえ、ましてや沢登りを楽しんで到達できる場所は少ない。しかし、千町ヶ原は登山道整備の不確定さから穴場の湿原で、南や西からはそれなりの渓谷が稜線へと延びている。
 九蔵谷は沢歩きを基調としながら、時折小滝が出てくる感じの谷である。沢登りらしい楽しさは1200mの滝マークまでと考えて差し支えないだろう。沢登らしさはあくまで爽やかで、嫌な悪さは無い。快適に景観を楽しみながら登ることができる。1250mから上流は近年の集中豪雨の影響があるのか土砂や倒木が見受けられ魚影はやや薄い。程よく遊んでもらえる密度なのでのんびり釣りを楽しみながら上がるのがいい。淡々と標高を上げ、なだらかなゾーンに到達すると柔らかく流れる水に癒される。笹薮を漕ぎ進むと眼前にワタスゲの大群落が忽然と現れた。過去一番の密度でこれだけでも大感動なのであるが、折よくニッコウキスゲも咲いており、バイケイソウの花にはクジャクチョウも舞っている。恋の季節のカオジロトンボは湿原中散り散りに四つ羽で飛んでいる。新しい夏を迎える嬉しさと侘しさがない交ぜになったこの感じ。これがまた次の季節へと歩む力となる。やはり山はいい。
 下山は青屋道とした。上牧太郎之助が安置した石仏を眺め歴史に思いを馳せつつ長い下山を終える。今も見つかっていない石仏は引き続き捜索中とのことだ。一介の身勝手な登山者だがこの道を開いた行者と救われた民を思う人が続いてくれるよう道の存続を祈念したい。

 九蔵谷は遡行内容重視の沢屋には物足りないのだが、高山植物シーズンの逍遥渓としてはなかなか良い。沢登りらしいところは林道が並走しているので沢慣れしていない人も取りつきやすいのではないだろうか。

<アプローチ>
九蔵川の左岸に走る林道のゲートに駐車して入渓する。地形図の林道終点までならば大体どこでも泊まれる。それ以上登るのであればは1650m~1700mの区間、1750m右俣の少し上で探すことになる。最上流域の平坦地も良いのだが薪に乏しいかもしれない。下山は青屋道が
草刈りされていればこれを使うといい。されていないのであれば同ルートが最も無難。なお、千町尾根の登山道は地形図の位置から少し北側へとずれているため注意。

<装備>
沢慣れした人間であれば特に何も要らない。

<快適登攀可能季節>
7月~10月 高山植物を愛でるといい。

<博物館など>
千光寺:円空ゆかりのお寺で作品を豊富に所有する寺。定番の不動明王はもちろん、宇賀神や水神もいい。しかし、千光寺保有の円空仏といえば鬼気迫る傑作の両面宿儺であろう。円空仏のなかでは複雑で力強く彫られており印象深い。