2017年1月4日水曜日

錫杖岳 三本槍尾根









左方カンテや北沢フェース、中央稜から左を見ると、可愛い3つのピークを持つ尾根が見える。この岩峰は三本槍と呼ばれてクライミングのルートが拓かれているようだが、登る人は多分極まれである。

そんな地味な尾根も冬になり、雪が付けば錫杖岳南峰への魅力的な登攀ルートとなる。下部は藪っぽく尾根を辿らないが、しっかり雪が付いた3月ころであれば忠実に雪稜を楽しめるかもしれない。P3の手前の岩峰から本格的な登攀開始だ。逆層の岩壁だが顕著なルンゼがある。岩壁は南面になるので氷の発達が余りよろしくない。これは左のルンゼから巻く事も可能。すぐに現れるP2、P1のコル南面には更にスケールの大きな岩壁がある。この凹状壁もそれ程傾斜は無いが、やはり氷の発達が悪い。しっかりベルグラが張ったら楽しそうだ。筆者らはP3を忠実にリッジを辿ったが、2Pの意外に面白いクライミングで頂上についた。そこから懸垂下降でコルへ。P2、P1はどちらもトラバースして巻く事ができる。ここからは右側の谷が非常に近くなって高度感が無いのでちょっと残念である。P1からもう一つ岩峰を登ると次のピークが錫杖岳南峰である。こんな感じで錫杖を山として考えればもっと楽しい遊びが可能だと思う。

個人的な話題だが、この三本槍尾根を登る3日前に槍ヶ岳西稜を登った。槍ヶ岳西稜には小槍、曾孫槍、孫槍、大槍と4つの槍ピークがある。そしてこの3本槍である。何と5日間で7つの槍をゲットしたのだ。脅威の1.4槍/Dayである。これは前人未到の記録ではないだろうか。この偉業を達成した自分を褒めてやりたい気分である。一つ悔やまれるのは期間中に、抜戸岳の南尾根にある、「穴毛槍」という何とも淫靡な名前のピークを踏めなかった事である。この卓越したネーミングセンスの頂上は敢えて絶頂と呼びたい。抜戸も魅力的な岩壁があるので、いつかこの絶頂を絡めた「槍」継続登山をしたいものである。


<アプローチ>
槍見から登山道。錫杖沢出合いの右岸尾根より取り付く。雪が少ないと藪が五月蝿いが、岩稜もろとも右に左にかわしながら楽しく進もう。登攀終了後は錫杖岳南峰に出るが、ここから大木場の辻まで縦走して西尾地尾根を下降するか、錫杖岳北峰まで縦走して北尾根コルを下降する。前者は尾根をきっちり定めて降りるのが難しい。後者は北峰までのラッセルと藪岩稜縦走に時間が掛かるので、2泊を見込んだほうが良さそう。三本槍尾根上では幕営ポイントは2人分であれば随所にある。稜線も良い場所は多い。どの岩峰も比較的簡単に巻く事ができる。敗退もそれほど、難しくないと思う。北沢フェースに中央稜、本峰フェースの絶景を楽しむ事ができる。

<装備>
ひん曲がったアックスと縦爪のアイゼンが有効。P3の登りにカム一式とピトン。ルンゼのラインを登るのであればアイススクリュー。

<快適登攀可能季節>
1月~3月。雪しっかり付いた時期が楽しいと思う。

<温泉>
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。

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