2018年3月27日火曜日

五龍岳割菱 G1Cフェース~GⅡ中央稜上部フランケ








五龍岳を五龍岳たらしめているのがこの割菱(武田菱)である。この武田家の家紋に似た特徴的な四つの岩壁を御菱(ごりょう)と呼んでおり、転じて五龍(ごりゅう)となったと考えられているからだ。高差70~80m程度の小岩壁から構成される割菱は見た目以上に傾斜が強く手強い。やや逆層フェース状なので足捌きには注意を要する。繊細かつ豪快な動きが楽しめる。筆者らは一番下部と正面左側の菱を繋げ登高距離を伸ばした。ルンゼ移動のコンテも含めると計3P~4Pの登攀になるだろう。スケールが小さいので、これだけを目的にするのは勿体無い。五龍岳周辺の雪稜からの継続、四菱の一気制覇などコンセプトを立てて臨むのが面白い。

筆者らは白岳東面からの継続で割菱を登ったが、面白いことに気づいた。2216m峰東璧が典型的な美しい花崗岩であるのに対し、割菱は流紋岩風なのである。槍ヶ岳の西稜の岩と雰囲気が似ている。するってえと溶結凝灰岩か。この山の成り立ちを想像する上で有意義な発見であった。文献を調べていろいろと確認したいものである。

岩壁を継続したり、雪稜と岩壁を組み合わせて登る事の面白みは自然に深く親しむ点にあると思う。山行中に出会う動植物の垂直分布を観察したり、岩質や地形を楽しんだりするには多様な場所を訪れるのが最良の方法である。里から谷筋を詰めて壁を攀じり、尾根登り縦走すれば沢山の発見があるはずだ。それを一度の山行に詰め込めば、点と点が繋がり物語性を帯びて滋味深い体験となるだろう。技術的・体力的な困難によって生存に緊張感が齎され、その地で生活する動物とより平等な存在になれるのもよい。春山は弱い人間が探検ごっこを楽しむには丁度よい季節のようだ。麗らかな時候、時間が許すならば海から山へと遡る山旅をしてみたいものである。

<アプローチ>
2650mのコルからA沢を下降する。雪が吹き溜まり易いので雪崩には細心の注意を払いたい。登攀終了後は稜線に達する。

<装備>
カム一式、ピトン各種、トライカム少々。支点はやや取り難い壁である。

<快適登攀可能季節>
12月~5月。日当たりが良いので、天気の良い日は壁が濡れて悪くなる。

<温泉>
みみずくの湯:日本有数の強アルカリ泉です。周辺の温泉は有名。入って損は無し。
倉下の湯:みみずくの湯を含む白馬八方温泉とは源泉が異なり、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉。価格も同じ600円なので気分応じて入り分けられる。
猫鼻温泉:小谷村北小谷湯原にあるアットホーム、というより最早ホームな温泉。500円で1日何度でも入浴可能で、台所で自炊もOK。山菜やキノコ、岩魚を取ってきたら調理して食べられる。近所の方が絶え間なく居るので、楽しくおしゃべりできるのも魅力である。源泉は姫川川原より湧出しているそうだ。

<グルメ>
グリンデルというレストランのベーコンステーキが秀逸。小洒落た雰囲気だが、汚い山ヤが居ても違和感無く食事が出来るのは白馬ならでは。白馬駅近くのおおしもはカレーライスの量が凄かった!ききょう屋という寿司屋の焼魚定食もおいしい。

<博物館>
富山への帰りしな、糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

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