2018年7月8日日曜日

直海谷川 板尾大谷右俣









 直海谷川の支流である板尾大谷を沢登りの対象とする人は間違いなく少ない。地形図において傍に登山道マークがあるうえ、傾斜もそれ程無いこの谷を遡行する理由を見つけられないのは当然だろう。しかし逆説的に捉えると、この場所に林道を敷設して道を作る何らかの理由が人間サイドにあったということである。この理由を知りたい。そして標高439mから流れを分かつ右俣にある急峻地帯の謎を解き明かしたい。この2つの十分な遡行理由を設け満を持して入渓した。

板尾大谷と直海谷川が合流する近くには採石場がある。硬く崩れにくい岩は堆積用或いは庭石用など用途がいくつかあるのであろう。板尾大谷に入ると少し砂は混じるものの概ね硬そうな岩であった。林道の周囲の下草は笹が茂り森の植生はまだ極相に達していないように感じた。天然林のブナやナラは既に伐採されて杉の植林も多い。この川は地域の貴重な資源で仕事の場であったことが伺える。そのために林道を敷設、堰堤の建設を進めたのであろう。

右俣までは単調な川原歩きで魚影も見ない。右俣に入ると直ぐに懸案の連瀑帯である。まず直登が難しい30m大滝、次に二段15m滝、最後は7m滝から樋状へと続く。地形図どおりに標高差を稼いでいる事に感心した。少し上は釜を持ったゴルジュとなり泳いで抜ける。以降はさしたる困難もなく水量の多い沢筋を選んで口三方山を目指す。

登山として敢えてこの沢を登る理由は特段ないように思う。奥三方山から口三方山にかけての直海谷川は里っぽさと程よいスケールが魅力的なので地域研究を兼ねて登るのがいい。

<アプローチ>
小板尾谷との合流点にあるゲートの前に駐車。そこから川沿いの林道を歩く。林道は早くから荒れてくるので沢へ降りる事になるだろう。口三方山から烏帽子山までは登山道が拓かれているのでそれを利用して、適当な沢を下降すると早い。車二台でデポすれば登山道を利用して降りる事も可能。日帰り。口三方登山道の駐車場までは早朝ならば8号でさっさと移動できる。帰りは市街地で渋滞する。入山口まで富山市内からおよそ2時間30分

<装備>
連瀑帯用にロープは必要。岩のギアはピトン、カムを少々

<快適登攀可能季節>
6月~10月。オロロが酷い地域なので注意。6月は残雪が残る。

<温泉>
セイモアスキー場の横に河内千丈温泉がある。静かで綺麗な良い風呂。

<博物館など>
ハニベ岩窟院:日本唯一の洞窟美術館。知る人ぞ知る日本最高クラスの珍スポット。おどろおどろしい鬼気迫る作品に圧倒される。男女で行くと水子供養かと聞かれるのでそのつもりで突入しよう。

石川県立ふれあい昆虫館:標本の数はまずまず。なにより生きた昆虫を間近に観察できる。蝶の放し飼いされた温室は凄い。皇太子ご夫妻もこの昆虫館を訪れている。雅子妃が温室に入った際、雅子妃の頭に蝶がとまったシーンは何度もテレビ放送された。

<グルメ>
白山からの帰りにある酒屋(名前は忘れた)に日本酒入りソフトクリームがある。もちろんノンアルコール。おいしいのでいつも食べる。

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