2019年7月18日木曜日

三方谷右俣(野々滝谷)










国土地理院発行の地図に記載される地名はどのような基準があるのだろうか。三方谷右俣には野々滝という滝記号が付けられている。県道が敷設されたとは言え、一般の方が容易にたどり着ける場所ではない所に名称が付けられていることは驚きに値する。この谷は小矢部川流域では最も急峻な場所だ。となれば現地で確認せざるを得ない。

小矢部川本流瀬戸の長瀞が終了すると合流するのが三方谷である。出合からは良い雰囲気の渓相に時おり小滝を挟む普通の沢である。右俣懸案の急峻地帯は非常に傾斜強い巨岩ゴーロ+スラブ滝が続く。大きな滝が出てもおかしくない地形表現だが、快適に高度を上げられる。岩壁が発達してくると、お待ちかねの野々滝が近い。表現しづらいのだが、野々滝周辺は面白い地形になっている。前衛の滝2つの登りも特に難しくは無い。ご本尊は多少雲に隠れていたものの無事礼拝が叶った。高差約40m、2段となった野々滝様である。水量はやや少なめで中段の窪みとブッシュが女陰を髣髴とする特徴的な形の滝だ。しかし、これに固有名称を与え国家公認の地図に記載するのは不思議に感じる。その後も現われる滝を快適に登り、比較的薄い藪を高差100m漕いで猿ヶ山の山頂へ至った。

自らの目で野々滝を拝んだものの、名称の謎は解けない。完全な当てずっぽうだが、野々滝は刀利集落における信仰の滝であったのではないだろうか。「のの」という言葉には仏、神といった尊い存在の意味がある。女陰のようなその形から豊饒の信仰対象と化した可能性は無いだろうか。こればかりは山に行っても解ける問題ではない。ダムに沈んだ集落にはしっかりとした郷土史が作成されることが多い。また、雨の週末にでも小矢部歴史を調べる事としよう。それにしても、こんな不思議面白体験のきっかけを作ってくれる1/25000地形図は本当に素晴らしい。国土地理院にはこれからも地名の奇襲攻撃を登山者へ仕掛けてもらいたい。

<アプローチ>
標高375mの橋がある場所に駐車する。林道を歩いて入渓することも可能だが、日帰りで三方谷右俣のみを遡行対象とするならば、ぜひ瀬戸の長瀞から継続したい。猿ヶ山山頂から北側の左俣を下降するのが合理的である。

<装備>
基本スリングのみでOK。野々滝をトライするのであればそれなりに準備が必要だと思う。

<快適登攀可能季節>
7月初旬~中旬、9月~11月 早い時期だと残雪が残っているはず。7月末から8月末まではオロロが発生するので避けた方が良い。

<博物館など>
縄ヶ池:五月連休あたりに水芭蕉が満開になる。駐車場から砺波平野の散居村を一望できるのも魅力。5月ならば田植えの時期、水田の水面に反射する夕日を眺めたい。10月ならば実りの時期、赤く染まった揺れる稲穂を堪能したい。

福光美術館:福光は棟方志功が6年ほど疎開していた土地である。そのため作品が多くの作品が残されている。企画展も渋く見逃せない。別館の愛染苑も訪れたい場所である。厠にまで絵を描く棟方志功の自由な人柄が感じられる家だ。

南砺バットミュージアム:日本プロ野球の往年の名選手のバットが触れる。メジャーリーガーのバットもある。タイカッブとベーブルースが使用したバットを触って大興奮!親父さんも気さくで良い時間を過せる。

井波彫刻総合会館:井波彫刻は県外にそれほど認知されていないように思う。豪快かつ繊細な技術に感動する。瑞泉寺も行っておこう。

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