2021年3月20日土曜日

穴毛谷二ノ沢本谷 ドーム壁

 









山登り、特に冬期登攀において南面というのは不遇な方角である。幾ら良い壁があったとしても季節風が吹き当らず日射を受ける南側では氷雪を生かしたクライミングはままならない。加えて結晶性の岩質の場合は寒暖差よって岩内部に破断力が生じるためか岩は脆い場合が多くて手を焼く。しかし、幼少のころ誰しも言われたであろう「好き嫌いはいけません」というという教育訓を思い出してほしい。食指が動かないと言って登らなかったら、いつしか北面の壁しか登れない体質になってしまう恐れがある(これを北面武士と称そう)。バランスの取れた適度な食事こそが健康を保つ秘訣であるのと同じく、何でもおおらかな気持ちで気楽に取り組むのが長く楽しむコツなのではないかと思う。感性はグルメより貧乏舌、肉食より雑食ダボハゼがハッピーなのである。

穴毛谷のドーム壁は中央壁(右峰岩峰)に相対する小ぶりな壁で南東向きの物件である。積雪が平日に殆どなかった週末に訪れたら、それはそれは絢爛な草付きをまといつつも黒々しい姿をしていた。東面は傾斜がかなり強く、興味深いワイドクラックがあったが今回はパスして、傾斜が少しゆるい壁左側から登り始めることとする。草付きにアックスを刺すとさながらカントリーマアムココアのようなソフト感触がしてイマイチ信用がならない。それでもロープを伸ばすうちに何だか楽しくなってくる。短くて難しくは無いがチムニー、クラック、フェースと要所で興味深いムーブが味わえる。大体3ピッチで岩壁を抜け、ロープのいらない簡単な岩稜と雪稜へと出る。正味3ピッチ程度でドーム壁だけを目的に訪れるのは少々勿体ないかもしれない。笠ヶ岳登頂や継続登攀の一環として取り組むのが丁度いいだろう。


<アプローチ>
地形図で示されている蒲田川へ分岐する手前から川を渡ると都合がいい。あとは地形図通り二ノ沢本谷を詰める。下山はクリヤ谷が早い。雪が閉まっていればクリヤの頭から谷へと一直線。

<装備>
カム一式、トライカム少々、ピトン少々

<快適登攀可能季節>
1月~3月。高曇りの日を狙いたい。

<温泉>
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。

栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。

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