2021年7月28日水曜日

二又川 トムラ谷

 












二又川流域で最もゴルジュが発達しているのはトムラ谷だろう。二又川の支流は本流に比して小さいものばかりだが、なぜかこの谷の浸食は極めて激しい。出合いからしばらくは特徴のない川原だがすぐに岩盤が発達し始める。最初は綺麗だなー、という感じで楽しめるはずだ。高度680mの2段15m滝からがこの谷本領発揮である。渓相はゴルジュとなり、高度は滝で稼ぐ。節理が少ない壁でホールドも乏しいので登るのは難しいだろう。側壁は雪国らしい草付きスラブ、しかも傾斜強めなので巻き始めたら降りるタイミングが難しくなる。スラブ滝が延々と続いた後、高三郎山直下はウォータースライダーのように滑らかな物凄い壁。草付きを繋げられるのが救いだが高度を上げるのは中々の苦労が伴う。特に事前調査もせずに下降した筆者らは頭を使う懸垂下降と緊張感のあるクライムダウンの連続で下降開始から二又出合いまで5時間ほど要した。ドはまりしやすい谷なので登る場合は余裕を持った行程計画とするのが良さそう。

<アプローチ>
 トムラ谷は地形図に谷の名称が示されていないが、二又川本谷570m地点の右岸から合流する谷である。林道をやたらと歩く羽目になる犀川ダムから入山するよりも順尾山登山道から沢を下降して取り付くのが良いと思う。或いは刀利ダムから小矢部川上流部へ車で入り、山越え入山だろう。地形図には順尾山から月ヶ原山まで登山道が記載されていないが、実際にはよく整備された登山道がある。筆者らは継続遡下降の計画の一環として小矢部川オコ谷を登った後に水上谷を下降している。
 下降は天ノ又、コシアゲ谷、倉谷川へと下るアザン谷、登山道と幾通りも取れる。計画に合わせて自由に取るのが良い。
 なお、この山域における各支沢の名称は長崎幸雄著「わが白山連邦~ふるさとの山々と渓谷」に詳しい。

<装備>
スリングとピトン。カムは多分あまり使えない。

<快適登攀可能季節>
7月~10月 早い時期だと残雪が残っているはず。ゴルジュ内に残っていた場合は処理に難儀するだろう。7月末から8月末まではオロロが発生するので避けた方が良い。

<温泉>
福光温泉:刀利ダムから降りるとすぐにある温泉。さっぱりとした天然温泉で毎日は入れる地元民の憩いの場。

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