2021年8月22日日曜日

鉾ヶ岳 イヨリ谷

 








イヨリ谷は鉾ヶ岳の谷の中でもめちゃ傾斜の強い谷がである。序盤はゆるーとした渓相なのだが650m付近から谷とは思えない傾斜でトッケ峰へと突き上げている。衛星写真では壁のようにも見えるが、登れるものか登れないものかはちょっと判断はできない。近いし、登れたらラッキーぐらいの気持ちで入山した。

477mの二俣を右に進むと、岩壁の鎧を纏ったおどろおどろしい谷にビビる。右支流を分けてすぐに5m、6mの2段滝。鉱泉が湧いていて、硫黄の臭いが漂っているのが印象的な滝。1段目はカムで支点を取りながらスリリングなフリークライミング。2段目はネイリングで支点を取りながら岩と泥草付きミックスで沢クライミング感全開。しばらくは歩きやすい。幾つか登り易い滝を越えると、岩壁状に掛かる2段30m滝が現れる。1段目は問題なく登れるが、2段目はリス、クラックに乏しい緻密な岩で支点が取れない。うーんここまでか。下流側のチムニー状ルンゼを25mくらいクライミングしてから、ボロイスラブとちょいやばい草付きを登って灌木帯へ。そこから傾斜の強い灌木帯をロープを出しながら数ピッチ伸ばして尾根へと逃げた。尾根へと抜ける手前でイヨリ谷を見ると、同高度までスラブ状滝が続いているのが望まれ慄然とするのであった。

鉾ヶ岳区画の地形図では滝ノ内沢の傾斜表現でギリギリ勝負できる渓相なのだろう。それでもボルト埋設で漸く登れる代物なのだ。それよりも傾斜が強い谷は非常に難しい。ホールドは割合ポジティブなので登れる可能性はあるが、支点が取れないのが大きな問題だ。意欲のあるクライマーの皆様、いかがでしょうか。

<アプローチ>
南又川手前の林道入り口に駐車して少し林道を歩いて堰堤を越えてから入渓する。南又川周辺に地形図で示されている登山道マークは道が有ったり無かったりで期待しない方がいい。そして西飛山へ通じる登山道は廃道化しており使用不可。北側のヒソノ又川を下降するか尾根をヤブコギして権現岳経由の下山とするのが良い。なお、海谷や鉾ヶ岳の登山道情報は糸魚川登山マップとして糸魚川市がPDF配布しているのでとても便利。

<装備>
カム#0.2~2まで一式。ピトン各種を沢山。マジで連瀑帯を突破するのであればラープとペッカーがあれば結構使えそう。ヌメリは少ないが、ままあるのでラバーソールが有利とも言い切れない。クライミングシューズは流心を登るのであれば有効だが、ちょっと外れるとドロドロで滑る。

<快適登攀可能季節>
8月~11月。夏は暑いしオロロが酷い。

<温泉>
柵口温泉権現荘:露天風呂付きの風呂と入り口が別の内湯が二つある。600円也

<博物館など>
フォッサマグナミュージアム:地学系の博物館で興味深い展示に見入ってしまう。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。至近の谷村美術館も個性的なので訪れる価値あり。

糸魚川市民図書館:糸魚川市、能生町の郷土史は重厚な作りで読み応えが有る。青海町の郷土史は発刊は古いがシニカルな語り口が面白い。ジオパーク関連資料も豊富で嬉しい。なお、能生町、青海町にも分館があるのでそちらでも資料は閲覧可能である。


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