2022年7月4日月曜日

高賀川 大和谷

 













濃尾平野に生まれ育った筆者にとって円空は当たりの存在だった。デパートの展示、美術館の展示や各メディアで報じられ、みんな好きな有名人だと思っていた。しかし、富山で円空の話をしても誰も「それな~」とはならなかったのは驚嘆した。それもそのはず、円空は蝦夷までの旅路の途中に越中も訪れているが残っている作品は多くは無いのだ。恋しい。あの柔らかな微笑みが。厳しさの中にあるかわいらしさが。ひとたび円空に触れたものはまた帰る。こうして而立を前にしてゆるやかに円空活動、略して円活を開始した次第。

さて、山登りのお話である。山岳信仰が隆盛した中世に栄えた高賀山だが、現在は林道が蹂躙しその神性は沈んでいる。誰でも親しめる山になったのだがちょっと寂しくも嬉しくもある。大和谷は高賀川の本流に該し、高賀山山頂へと一直線に至る。これは有難い谷だなあと思って調べると幾つか記録はあり中々面白そう。

最初の7mくらいの滝が現れるとそこから美しく登れる滝が多くなる。やがてゴルジュ段瀑が始まるが3段くらいは右岸から高差30mくらい巻き、右へトラバースして懸垂して川へと復帰。そこからさらに段瀑が続いておりシャワーを浴びつつ微妙に悪いクライミングとなる。単独円活のフリーソロだったので割と緊張した。ゴルジュ段瀑が終わっても斜瀑が出てきて飽きない。詰めは崩壊ゴルジュクライミングでこれまた面白い。見た目は脆そうだが特に危険は感じなかった。上り詰めればすぐに山頂だ。下山道では円空が木喰戒の修行中に使用したといわれる岩屋が有るので忘れずに立ち寄ろう。

円空が修行した山で滝行である。となれば、いつものシャワークライミングとは水の味が違う。その後、傑作鑑賞と洒落込めば最高の円活となるだろう。フクベも近いので併せてボル活も一緒に楽しめるし、洞戸最高のデートスポット「モネの池」もあるので恋活も可能。円空の木喰戒スタート地点なので、終活にもいいかも。世の活動家の皆さん、一度は高賀山へおいでよ!

<アプローチ>
高賀山南側にある登山道駐車場を利用する(地形図に記載なし)。林道は崩壊によって通行止めになっているが歩行に支障はない。大和谷に入ってからも谷中に遊歩道なのか作業道なのか解らない道がしばらくついている。下山は登山道を利用する。

<装備>
バリバリ直登したいのならばカム、ピトンなど準備。それほどでもないならばスリングのみでOK。

<快適登攀可能季節>
4月~11月。あまり概念が無いので何とも言えないけど。

<博物館など>
洞戸円空記念館:善財童子、虚空蔵菩薩、歓喜天といった晩年の傑作を収蔵する素晴らしい博物館。私的には円空と明道の狛犬がむちゃ好きなので、何度でも行きたくなる。さらに円空の歌集まで収蔵!大般若経の修復のために私家本を張り付けて使うという感性に親しみを覚える。自分で好きな歌には丸印うってるし。

モネの池(名もなき池):洞戸の神社の入り口にある美しい池。ここ数年で急激に注目されるようになった。日中は無茶苦茶混むので早朝がお勧め。



大滝・縄文鍾乳洞:郡上郊外にある鍾乳洞。普通に廻ったら一周するのに20分くらいかかる大きさである。洞内にある30mの大滝は凄い。観光地化されていて入場料1300円とお高いが訪れる価値は十分ある。

0 件のコメント:

コメントを投稿