2026年7月13日月曜日

小滝川 ヨシオ沢

 









 糸魚川の山の面白さは尋常ではない。その一要素として付加体構造が挙げられる。糸魚川の付加体は各層の規模が小さいため、一本お隣の沢や対岸の沢へ入るだけで全く異なった味わいが楽しめるのだ。小滝川上流域の詳細な調査はまだなされていないため、自ら訪れて謎を堪能することができるのだ。ヨシオ沢の地質は小滝川の他の支流とは少し毛色が異なっている。下部は青海川アイサワ谷と概ね同様のようだ。そしてその下部にはヨシオ滝が架かっている。加えて、途中に謎の平坦地形が存在するとなればこれはもう行かざるを得ない。

ヨシオ滝は確かにアイサワ谷で見られるような圧縮されたシマシマの岩である。段瀑となっており、最上段の瀑布は宙を舞っている。難しそうだし、こいつの直登が目的ではないので、左岸からロープを出して高巻く。弱点を突いているとはいえ傾斜はあり、いやらしい箇所がある。最上段の高巻きの途中で、人工的な隧道跡を発見して驚愕する。ヨシオ滝の上も小ゴルジュになっており、10mクラスが3つ、5m程度が1つの滝が出てくるが、いずれも容易に越えられる。これらの滝を越えると土砂が多くなり歩きの沢となる。 平坦地に入ると倒木が目立つ。少し上流には大きな山崩れ跡があった。ちょうど泥岩・砂岩の堆積岩に切り替わった地点だったため、崩壊が生じやすかったのだろう。このような崩壊によって河道閉塞による堰止湖が生じ、その後の堆積によって平坦地が形成された可能性が高いと推察した。 詰めは源太夫山へ向かう沢とした。心配していた悪い滝は土砂に埋まっているのか、一切姿を現さなかった。途中、藪っぽい箇所はあったものの、尾根上に出るまで藪漕ぎは殆どなかった。小滝川左岸の沢から詰め上げた尾根とは違って、ここにはブナの大木が無く、代わりにササが見られる。源太夫山は藪が深く、人間にとって決して居心地の良いピークではないが、確かな満足感がある。下降に選んだオソロ沢は往路以上に土砂と倒木の堆積が顕著で体力・精神ともに疲弊した。しかし、これこそ裸の自然といえよう。想像力を働かせたあとの深い充足感とともに林道を歩んだ。

小滝川の沢は、不快なことが多いのは間違いない。しかし、登山、自然、そして文化における謎が多く、面白いのでやめられない。土砂が有ろうが、倒木が有ろうが、毛虫にやられようが、引き続きこの山域との距離を詰める所存である。

<アプローチ>
小滝川発電所から先はゲートがあり封鎖されている。ここに駐車して入渓。ヨシオ沢を登った後は源太夫山を経てオソロ沢を下降する。オソロ沢の土砂倒木の堆積は一見の価値あり。難しくないけど凄まじい歩きづらさ。今だけの限定かもしれないのでぜひ訪れてみるといい


<装備>
カム一式、ピトン各種。フェルトがいいと思う。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。

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