2015年10月29日木曜日

穴毛谷 第一尾根側壁 上流側

















笠ヶ岳には6500万年前(白亜紀)の火山岩体が現在まで残っている。その岩体は溶結凝灰岩と溶岩が1000mを超える厚さで重なっていて、ケイ酸塩が豊富なため笠ヶ岳流紋岩と呼ばれている。ここまで厚く古い火山堆積物が残っていることは珍しい。それは火山堆積物が垂直方向に1000mも陥没する現象が数回起こったことによる。この火山性陥没構造をコールドロンと読んでいる。マグマが大きく噴出したのち、その空隙部が陥没して形成される地形だ。そんな地球の歴史的背景があってこの穴毛谷で僕らは遊んでいる。

高差150m程だが幅広で見栄えも良く立派な壁。取り付く時期は悩ましい。標高的に錫杖岳前衛壁とほぼ同じで2000m以下。それゆえ穴毛谷に入れる雪の状態の時は壁のコンディションが快適とはいいがたい。それでも緊張感の有る場所でするクライミングは痺れるはずだ。筆者が登ったのは最奥の短いラインのみ。まだまだ開拓の余地は有る。富山岳人は地の利を生かして積極的にチャレンジしたい。

<アプローチ>
積雪期の穴毛谷に入るには雪の状態を読みきって入る必要がある。夜中に入谷し、夜が明けると周囲のきのこ雪時限爆弾が発射寸前で青ざめる。剱岳の西面よりアプローチは格段に近いが東面ならではの怖さがある。登攀終了後は一尾根を登りヒロサコ尾根の途中から新穂高へ降りると良いと思う。

新穂高まで富山大学からおよそ1時間50分。

<装備>
ひん曲がったアックスと縦爪のアイゼンが有効。岩のギア一式とアイススクリュー4本くらい。もちろんラインによる

<快適登攀可能季節>
2月下旬~3月中旬。なにより穴毛谷に入ることが可能なコンディションのとき

<温泉>
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。

栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。



0 件のコメント:

コメントを投稿