2016年5月22日日曜日

青海の岩場


北陸で石灰岩のフリークライミングが楽しめる大変貴重な場所。取り付まで、アプローチ徒歩15歩という雑穀谷を凌ぐ驚異的な利便性である。不肖者でフリークライミングのルートの良し悪しを語れるほど登りこんではいないが、楽しい岩場だと思う。

石灰岩地帯の土壌および河川のpHは塩基性に傾いている。土壌のpH平衡は凄く複雑だろうが、炭酸カルシウムが雨水と二酸化炭素によって
CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2
と反応し、さらにCa(HCO3)2が電離してCa(OH)2となって塩基性に傾いていると勝手に理解している。

加えてカルシウムイオンは他の陽イオンより陰イオンと結合しやすいので、土壌は植物体に必要なリン、鉄などの元素が少なくなりがち。そのような環境下で生育可能な植物のみ生き残るので、石灰岩地帯の植物は一風変わっている。直ぐ横の黒姫山はドリーネ地形を擁しており植物観察にはもってこいの山である。

さらに忘れてならないのはマイマイ類である。蝸牛の殻は主として炭酸カルシウムで構成され、その原料が豊富な石灰岩地帯には多くの種が生息している。そして日本の石灰岩地帯は分断されているので、生物の移動が極端に制限される。それゆえ石灰岩地帯では地域ごとの固有種が多い。

ポケットホールドが豊富なルートのキーポケットに蝸牛が鎮座していた。優しく手に取り、あっさりテンションして観察。フィボナッチ数の潜む螺旋は息を呑む美しさで震えた。ロープなんかぶった切って、指を鳴らし、腰をくゆらし、タップを踏んで、シャウトしながら大地を賛美をしたい苛烈な激情に襲われるが、堪えた。この岩場は人の往来が激しいので注意が必要である。

<快適登攀可能季節>
3月~5月、9月~11月。午前中は日が当り暑い。午後は風も抜けて涼しい。

<グルメ>
糸魚川では近頃ブラック焼きそばなるB級グルメの普及に勤めている。初めて食べたが、イカ墨パスタのようで美味しかった。

<博物館>
翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

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