2017年1月26日木曜日

荒船山 昇天の氷柱







雪山を楽しむならば富山周辺には何でもあるので、遠方へ行くことは少なくなってしまう。西上州は遠い。曲折あって、僥倖にも荒船山を訪れる機会を得た。群馬県の内陸部となると北陸との自然環境の違いは大変なものである。初めての西上州体験は歩けば発見、登れば驚きの素晴らしい山旅であった。

木々の茂りに乏しく、岩峰は至る所に生えているためか、眺める山々は荒涼寞寞としている。でも空が青いので、目の前の荒涼とした景色との整合性が自分の中でとれずにむず痒い。それを掻き毟る快感。荒船山の艫岩は堆積岩と安山岩質のマグマが混じった感じの岩で、海谷に近い印象だ(憶測です)。この山も海底火山だったのだろうか。だが、メインの壁は海谷に比べればずいぶんと堅い。疎らな木の種類を見ればブナにナラにクルミと意外と北陸と変わらない。しかし中サイズ木が少なく、下草は笹が主である。何故だ。下仁田市の平均年間降水量は約1500mm、一方、富山市は2300mmである。日照時間にはさらに差があると思う。そして冬は空っ風と称される乾いた強い風が吹く。水分量の違いは大きな違いだ。加えて、この山には鹿が多く生息している。近年増加著しい彼らが柔らかい新芽を食べつくしているためかもしれない。

そんな思索とともに、昇天の氷柱を堪能した。出合いは幅広い氷から顕著なルンゼが続く場所なので比較的わかり易い。一段登ると垂直に近いゴルジュになる。初めてなので氷結状態は判断できないが、ここは凍っていても、ドライでも面白いと思う。抜け口は空っ風による飛沫で出来た笠氷を登る。こんな氷は初めて登った。台地状の優しい山頂からは浅間山がやけに大きく見えた。

新しい山域に入るたび、山登りは良いものだとつくづく思う。より深く西上州を味わえる夏の沢登り、秋の岩登りもまた楽しみだ。筆者は生来、耳鼻咽喉系が弱く、このような乾燥地帯では忽ち喉がイガイガしてきて、2日後には風邪を引くので、次はマスクを準備して行こうと思う。

<アプローチ>
下道であれば白馬経由か上越経由となる。白馬経由は悪天時には怖い。長野からは佐久経由で国道254号線から登山道入り口に入る。富山市から6時間位かかるので、おとなしく高速道路を利用する方がよい。

<装備>
アイススクリュー8本くらい。ピトン少々

<快適登攀可能季節>
1月~2月。全然知らないけど寒い時だと思う。攀船記も登りたい。



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