2017年9月7日木曜日

乗鞍岳 飛騨川 真谷











無雪期の乗鞍岳は過小評価されているのではないか。登山者からはスカイラインを利用して安易にピークを踏める点や五色が原の入場者制限など俗っぽさから敬遠されがちな気がする。しかし、乗鞍岳周辺の沢は静寂を保っておりナメに大滝にゴルジュにどれも素晴らしい景観を楽しませてくれる。堰堤や林道など人の手が入っている場所が多いが、そういう谷でも部分を切り取れば一級品の渓谷だったりする。下山が楽なので沢慣れしていない人には入山しやすい環境といえる。尾根では千町尾根が素晴らしい。高原のブナの森から湿原へ入り高山帯へとたおやかに山頂へ導いてくれるお気に入りの尾根である。登山者が少なく静かなのも魅力だ。花の時期にゆったりと歩いてみたい。

飛騨川の支流真谷は滝が連続して快適かつ楽しい谷だ。標高1700mから2700mへの遡行は高山帯の雰囲気も相まって独特の味わいがある。1900m付近から始まる連瀑帯は息つく間もない、というより深呼吸してゆったり味わいたい感じ。殆どの滝は直登か直ぐ脇を登る事が出来る。もちろん水量次第ではあるがどれも難しくは無いだろう。80mは有るだろう斜瀑は圧巻だ。流芯をシャワーで登ることも可能で爽快極まる区間だ。ぐいぐい標高をあげると沢はナメ状となり天国へ導いてくれるような風景になってくる。涸滝から岩場となりザレを少々歩けばあっけなく稜線に出る。そこから乗鞍岳主峰剣が峰までは一足飛びである。

<アプローチ>
アイミックス自然村南乗鞍オートキャンプ場から林道に入り、東谷出合いにゲートがあるので手前に車を止める。忠実に水線を詰めると藪漕ぎは全く無く稜線に飛び出す。折角なので剣が峰まで足を伸ばすと良い。地形図に記載されていない阿多野へ下山する道がある。道中には看板もあり、エアリアにも記載されている。ハイマツ帯で道が判然としない箇所があるが歩くのには支障は無い。下部の藪は刈払われていたが、時期と年によっては未整備の可能性もありそう。入渓点まで富山市内からおよそ3時間。

<装備>
沢慣れした人間であれば特に何も要らない。滝には節理が十分ある。確保する場合はカム、ピトン、ナッツどれも有効である。

<快適登攀可能季節>
7月~9月 南面とは言え、7月中旬までは有る程度の残雪がありそう。標高が高いので遅い時期は寒い。虫が少ないので真夏も遡行可能だと思う。

<博物館など>
光ミュージアム:崇教真光が運営する博物館。ピラミッド型の建築だけでも面白い。浮世絵から書まで展示する正統派で良いなぁ。っとおもったらいきなり現れる教祖の展示が見所。

飛騨高山美術館:アールヌーボー、アールデコのガラス工芸を展示。エミール・ガレ、ドーム兄弟の作品は沢ヤならばきっと気に入るはずだ。

千光寺:仏師界のニコラ・ジャジェールこと円空の作品を豊富に所有する寺。上から目線の悟り表情ではなく、微笑みかける一本彫の仏像に癒される。鬼気迫る両面宿儺も傑作。

世界の昆虫館:豊富な標本と、アート性を兼ね備えた昆虫館。展示内容が多彩で時間がどれだけ有っても足りない。リスとも触れ合える。秀逸なのは蝶で描かれた絵画。蝶が見たら地獄絵図だが。

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