2018年1月24日水曜日

六百沢の岩場 右支流奥壁








六百沢のゴルジュが本格的に始まる辺りから左岸にゴルジュ支流が流れ込んでいる。この支流に入ると直ぐ奥に高差150m弱の壁が展開している。ベルグラの発達した幅広の壁は非常に見栄えが良いい。壁の質としては下又白前壁に近いが、部分的な傾斜はこちらの方が少し強い。筆者らは壁中央の凹状を辿った。下部2Pがこの壁の白眉だ。しっかりベルグラの張ったタイミングであればランナウトのスパイスを肴にぐいぐいぐいと飲み乾せる。北面に吹き付ける季節風が爽やかな喉越しに花を添えてくれるだろう。上部の藪も愛嬌があってよい。草付きアックスと木登りも最後の締めとしては丁度良い全身運動になる。

それにしても上高地の沢の入り口はなんと解り難いのだろうか。花崗岩質でゴルジュ地形になっている六百沢も例に漏れない。かつて湖であった上高地である。沿岸部は湖沼の堆積作用により平坦になっていたことだろう。水が抜け、水位が下がったためこのような地形になったのだろうか。植生も何と無く新穂高と違っている気がする。今後も各沢の水源から本流までの距離、集水面積、さらに地質を考慮しで自分の眼で調査していきたいものである。

<アプローチ>
沢渡か坂巻温泉に駐車。坂巻温泉の駐車料は一日600円。富山から大体2時間30分あれば着く。六百沢の入り口は解り難い。初めてであれば明るくなってから取り付いたほうが無難。下降は同ルートが無難だ。六百沢はゴルジュ地形内にルンゼが多く集まっており、非常に雪崩のリスクが高い谷である。北面であることを勘案すると、一雨入り冷え込んだタイミングが安全でベルグラの発達も期待できる。

<装備>
カム少々、ピトン数枚、トライカム、アイススクリュー(氷が厚ければ)

<快適登攀可能季節>
1月~3月くらい。

<博物館など>
福地温泉で日本最古の化石が発見されている。年代は古生代オルドビス期~デボン紀。即ち5億年~3億6000年前である。残念ながら冬期登攀後は観察できない。

<温泉>
坂巻温泉、平湯温泉

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