2019年2月11日月曜日

唐沢岳東尾根







クライミング的お楽しみ要素はほぼ無いが、静かで手の入っていない本当の山を楽しめる尾根である。登山大系の巻末に唐沢岳周辺の積雪期の尾根ルートの記載がある。巻末、しかも穂高・笠ヶ岳の積雪期尾根ルートの後にあるため、本気でこの部分を読んでいる登山者は少ない気がする。登ってみて、この項を担当した東京薪水岳友会は兎に角、唐沢岳を愛してことが解った。「盛りすぎ!」なのである。

尾根の出だしは七倉ダムの管理道なので歩道が利用できる。送電線を過ぎるとそこから立派なシャクナゲの密生した、深い藪となる。如何せん樹高が高いのでここは積雪量が多くても藪漕ぎとなるだろう。一端傾斜が緩くなっても藪は深い。というか尾根上はずっと深いので、藪について以降の記載は留めておく。1646m峰は登りに問題ないが、下降は急なので慎重にルートファインディングしたいところだ。ここから所どころ現われる尾根上のボルダーを避けたり、登ったりしながら進む。さあ、ここからが核心の1900m峰だドンと来い、と思いつつ歩みを進めると藪の要塞に守られた小さな岩場が目に入る。え、あれ?・・・となるその刹那、1/50スケールのハーフドームが有るじゃないか!と瞬時に切り替えたいところである。ハーフドームの弱点は誰が見ても左の雪が付いたクーロアール。軽快な雪壁登攀で抜けたい。その後もナイフエッジなど無く東尾根に合流する。そこから先に待ち構えているはずのドーム状雪壁はどれなのか解らないまま、北尾根に合流する。慣れたパーティーならばルート上でロープの出番は無い可能性が高いだろう。苦労してたどり着いた唐沢岳の眺望は正に絶景である。北アルプスの渋いエリアが見渡せるのがいい。西尾根へ降りるとシャクナゲは一切無いのが興味深い。シャクナゲは日当たりがいい斜面を好むのであろう。そういえば富山の山にあまりシャクナゲは自生していない。やはり日照時間が重要なのかもしれない。

登攀価値が最も高いと書かれているのは敢えて難しく登ったためと考えられる。あまり登攀要素を期待せずに、静かな登山を楽しむには良い尾根だ。学生の皆さんには丁度良いルートだと思う。

<アプローチ>
葛温泉に駐車して七倉ダムへ。七倉ダムの階段を登ってダムの堤を歩いて尾根に取り付く。幕営可能箇所は随所にあるので、守りの行動に入らず進んでも問題ないと思う。下降は北尾根か西尾根となる。一番簡単なのは西尾根2286m峰手前コルから唐沢へ下降するライン。簡単な下降路だが典型的な雪崩地形なので要注意である。富山市内から葛温泉まで下道でおよそ3時間くらい、糸魚川まで高速を使うと2時間30分くらい。

<装備>
スリング数本。アックスはハーフドーム用に2本有っても良いがそれ以外に出番が無い。慣れていれば1本でも十分こなせるので、本数は適宜。

<快適登攀可能季節>
2月~3月。雪が付いていないとただの猛烈藪漕ぎになる。

<博物館など>
大町山岳博物館:資料館が素晴らしい。剥製の展示も豊富で躍動感、物語性があり見入ってしまう。ボルダリング壁も一回100円で一日利用可。

塩の道ちょうじや:庄屋であった平林家を展示。千国街道から運ぶ塩は瀬戸内産だったそうな。北前船で糸魚川まで運ばれ、そこから大町まで運んだとか。にがり甕の知恵に感動。

<温泉>
上原の湯:400円で石鹸&シャンプーが付いている温泉。
薬師の湯:温泉博物館と酒の博物館が近くにある。600円。
みみずくの湯:白馬にある日本有数の強アルカリ泉。入って損は無し。

<グルメ>
昭和軒:大町駅近くにあるカツ丼の店。大盛りはプラス100円で凄い量が食べられる。

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