2019年2月18日月曜日

七倉岳南尾根






国土地理院発行の地形図が好きだ。地形図というのは記号でありながら文字よりもずっと多くの情報を現している。そして読み手の想像を激しく惹起させ、意思決定と行動を左右する力を秘めた魔道書なのだ。

冬山登山で興味深い地形は北面&西面で極端に等高線が詰まったところ(殆どの毛虫は既に漁られている)、ギャップのある小ピークが幾つも連なった尾根である。七倉岳南尾根はボリュームがあり地形図上で小ピークを5つ有するので、気になる尾根だ。この山域には小ピークを有する尾根が多いが、これは風化しやすい花崗岩が崩壊する事により生じた地形である。気候は北陸に比べて日照時間は長く、降雪量(降雨量)は少ないのでシャクナゲが発達している。加えて尾根は南面で小ピークがある標高は森林限界以下。以上の自然条件から察するに七倉岳南尾根は登山としての盛り上がりは望み薄のように思える。だが、訪れずして語るべからず。見なければ解らない事もある。期待は失望の母、と言い聞かせながら淡い期待を持って入山する。

1716mピークまでは傾斜が緩いところを狙いながら登るが特に問題になる箇所は無い。ここから稜線が細くなり地形図には現れないピークが2個ほどあったと思う。稜上は激しい藪と岩峰で面倒なので右側を巻く。1888mからの小ピーク群も右側を巻き、小ルンゼを上り返す動作を繰り返す。右側の傾斜は緩いので特に問題は無い。直ぐに始まる急登は尾根の形状が判然としないので適当に弱点を突いて登る。稜付近は藪が酷いのでやはりルンゼが登り易い。2170m以降は樹高が低くなりすっきりしてきて気分が良い。岩稜っぽいところもあるが弱点はあるので問題ない。冬の七倉岳にはきっと誰も居ない。それだけで良い山だ。

困難度は低いがルートファインディングに肝があるルートである。雪の多寡と状態次第でライン取りは微妙に異なるだろう。確保状況は良好なので冬山慣れしていない人のトレーニングに丁度良い尾根かもしれない。

<アプローチ>
葛温泉に駐車して高瀬ダムへ。ダムの九十九折は登らず、右側の尾根から取り付く。取り付きから主尾根までは岩が出てきたり、藪が凄かったりするので、傾斜が緩いところ、歩きやすいところを探しながら歩く。幕営適地は随所にあるが、2170m以降は風当たりが強いので面白くない。下降は登山道のある尾根となる。この尾根は急な所が有ったり、わかりにくい箇所も多いので注意を払いたい。富山市内から葛温泉まで下道でおよそ3時間くらい、糸魚川まで高速を使うと2時間30分くらい。

<装備>
念のためロープ。登ったときはロープは使わなかった。アックスは1本で良い。

<快適登攀可能季節>
12月~3月。雪が付いていないとただの藪漕ぎになる。

<博物館など>
大町山岳博物館:資料館が素晴らしい。剥製の展示も豊富で躍動感、物語性があり見入ってしまう。ボルダリング壁も一回100円で一日利用可。

塩の道ちょうじや:庄屋であった平林家を展示。千国街道から運ぶ塩は瀬戸内産だったそうな。北前船で糸魚川まで運ばれ、そこから大町まで運んだとか。にがり甕の知恵に感動。

<温泉>
上原の湯:400円で石鹸&シャンプーが付いている温泉。
薬師の湯:温泉博物館と酒の博物館が近くにある。600円。
みみずくの湯:白馬にある日本有数の強アルカリ泉。入って損は無し。

<グルメ>
昭和軒:大町駅近くにあるカツ丼の店。大盛りはプラス100円で凄い量が食べられる。

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