2019年5月30日木曜日

恵那山 本谷川黒沢








濃尾平野にある筆者の生家のベランダから体を乗り出して西側を眺めると恵那山が見えた。かなり強引でリスクを孕む眺望方法だったが、伊吹おろしが吹く冬晴れの日にはくっきりと見えるので嬉しかった。

恵那山はバリエーションルートにあまり恵まれない。山のスケールの割にどの谷も浅いのでガレが堆積しがちなのだろう。東面本谷川の一支流である黒沢も特段の盛り上がりがある沢ではない。標高1330mの出合いに立てばこの谷の名前の由来が直ぐにわかる。川床の石が黒いのが多いのである。谷は浅いもののある程度の傾斜が一定続きほどよいゴーロ歩きだ。序盤は白い色のガレが多く、中盤は黒い色のガレが多い。幸い標高1500m以降は白ガレと黒ガレは融和の道を歩み、美しい滝に虹が懸かるようになる。訪れたのは暑さが厳しい初夏の日で、ミソサザイのさえずりが谷中に響き渡っていた。あっという間に良いところは終わり少々の笹薮漕ぎで登山道へ出る。なだらかな山頂には櫓が立っているが景色は望めない。2000m以上あるとは思えない不思議な山頂である。

敢えて富山からこの沢を目的に訪れる必要は無いように思う。近くを訪れた際についでに登ればいい。そういえば、生家の隣には高いマンションが2棟建設されたため恵那山はもう見えないそうだ。それはちょっぴり残念だけれども、これから始まる恵那山との関係のほうがきっと楽しいものになる。次は濃尾平野から眺めていた西側の沢を登る事にしよう。

<アプローチ>
富山市から41号線~256号線で木曽に向うと快適かつまあまあ早い。そのまま国道256号線で妻籠宿から阿智村に入っても良いし、中津川ICから恵那山トンネルを抜けて園原ICへ降りるのもいい。恵那山トンネルは全長約8500mで開通当時、日本最長の山岳トンネルであった話題になったそうだ。広河原登山口を少し過ぎたところから入渓する。下山は登山道を利用すれば容易。

<装備>
念のためロープとカム。沢慣れした人は何も要らない。

<快適登攀可能季節>
5下旬月~11月。良く知らない山域だがこれ位の期間は快適そう。

<温泉>
昼神温泉:神坂峠は飛鳥時代から畿内~東国を繋ぐ東山道の難所であった。昼神温泉はそのころから湧出していたという由緒正しい温泉である。アルカリ単純硫黄泉の湯は滑らかでいい。最大の日帰りは湯ったりーな昼神で600円で入浴可能。

<博物館など>
妻籠宿:中仙道の宿場町を保存して観光地化してある。いかにもな観光地。おばちゃんの解説はさながら噺家であり職人技である。内容は非常に興味深い。そして歴史資料館も秀逸である。斜に構えて行かないのは損。

0 件のコメント:

コメントを投稿