2021年9月24日金曜日

大嵐谷 小屋場ノ谷











白山山系の沢の中でも手取川右岸の沢の知名度は低い。白山の谷を網羅的に紹介した文献は知る限りない。とはいえ、小さな谷であっても先達によって紹介されてはいるのはさすが。小屋場ノ谷は日本の渓谷97という本に紹介されている。登攀的な沢として興味深く紹介されているので現状を確認することとした。

小屋場ノ谷は大嵐谷本流675m地点右岸から合流する谷だ。出合いからすぐに2段滝が現れるので間違うことは無いだろう。しかし、この二段滝を前にして水量が極端に少ないのに気が付く。沢登りとしては盛り上がりに欠けるが、クライミングは快適である。申し訳程度に流れる滝だが中々面白い。ただ、資料と谷の内容がどうもかみ合わない。全体的に滝が小さいのだ。小滝とちょっと大きめの滝を幾つかこなすと巨大なガレ場に出くわす。もしかしたら、土砂が沢山出て谷を埋めたのかもしれない。上部のゴルジュ状滝も湿ってはいるが水は流れていない。水が流れていないとはいえ、クライミングは緊張する場面も多いので面白い。支点はよく探せばそこそこの質で取れるだろう。驚くべきは1200m付近から水がしっかりと流れ始める事。なんで少し手前のゴルジュ滝で全く流れていないのだろう。傾斜が強いナメ状でありながら伏流するのは珍しい。以降はこれといった滝は現れない渓相となる。

集水面積が少ない谷なので一旦土砂が堆積すると、土砂が押し流されるのは非常に時間がかかるだろう。元々飛騨帯の脆弱な部分を含む地質なようなので、昨今の豪雨傾向ではまた山抜けが起こるかもしれない。谷は日々形を変える。それはいつ登っても新鮮な面白みがあることで嬉しいことだ。また、何かの形でこの谷を訪れるだろう。その時が楽しみだ。

<アプローチ>
深瀬大橋から手取川右岸沿いの林道を車で進み、大嵐谷を渡る橋まで行き駐車する。ダム右岸の林道は草ぼうぼうでダートだが、ちょっと車高の高い車ならば全然問題ない。おそらくダム関係者が利用しているのであろう。大嵐谷左岸の林道も現役で使え少し先に駐車できる広いスペースもあった。小屋場ノ谷遡行後は北側の東畑谷を下降するか、一本北側の小屋場ノ裏谷を下降する。筆者らは小屋場ノ裏谷を下降したが、判断に迷う地形もあるのでそこそこ難しい。

<装備>
カム0.1~1.0をワンセット、ピトン各種。濡れているところのヌメリは凄いのでフェルト推奨。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。

<博物館など>
石川県立ふれあい昆虫館:標本の数はまずまず。なにより生きた昆虫を間近に観察できる。蝶の放し飼いされた温室は圧巻である。皇太子ご夫妻もこの昆虫館を訪れている。雅子妃が温室に入った際、雅子妃の頭に蝶がとまったシーンは何度もテレビ放送された。

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