2022年1月10日月曜日

明神岳2263m峰 前面フェース水神登路

 







 2263峰では幾つかのラインが取れる西壁、南壁、東壁が人気。概念図には前面フェースと奥壁という岩場も描かれておりこちらも興味をそそる。というか、対岸の明神遊歩道から丸見えでどちらも大変魅力的に見えるので行くっきゃない。

 実際の前面フェースは期待以上の立派さで迎えてくれた。壁からはここを登れと言わんばかりの登路が示されており、それを表すルート名に感心するばかり。氷雪が付着したスラブ帯を2ピッチ楽しく登ると6mくらいの強傾斜フェース帯となる。ここはホールド豊富でホールディング良し、フッキング良し、プロテクション良しの三拍子そろった面白ポイント。ここから灌木の生えたルンゼ状の氷雪を登ると右のリッジ状に吸収され大テラスとなった。筆者らはここで終了としたが、そこからさほど困難ではない3P程度で前面フェースの頭へ到達できるように見えた。遠望したところによると大テラスから東壁へ継続できるようだ。

 随所にがっちりとした支点が得られる2263峰の中では珍しいラインと言える。それでも下部は逆層スラブの明神要素もちゃんと含んだ内容で素晴らしい。下降も難しくないので是非お勧めしたい。

<アプローチ>
前面フェースはワサビ沢本流の右岸側の沢のドン突き、南壁とほぼ同高度に存在する。一見雪崩リスクが高そうなアプローチとなる雪面は風が非常に強いようで、雪の付着は殆どなかった(ただし、冬型降雪時のみの確認)。日当たりが良好の壁なので、氷雪付着状態は大きく変動するであろう。雪崩リスクとの兼ね合いではあるが、降雪後の登攀の方が楽しめる。沢の入り口が非常に分かりずらいため、うっかりすると東壁側に入り込んでしまうので要注意である。下降はルートの右側に生えた灌木を懸垂下降するのが無難。4Pか5P伸ばした後にリッジ状となった後にテラスが現れる。おそらくここを右にトラバースすると東壁へと継続することが可能だと思う。

<装備>
イボ3~4本、ピトン薄刃~ロストアローサイズ。カム一式。

<快適登攀可能季節>
12月~2月。氷雪が付着するような冷え込んだタイミングで取り付くことをお勧め。草付きが緩まない状態がベスト。

<博物館など>
福地温泉で日本最古の化石が発見されている。年代は古生代オルドビス期~デボン紀。即ち5億年~3億6000年前である。残念ながら冬期登攀後は観察できない。

<温泉>
坂巻温泉、平湯温泉

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