2022年6月19日日曜日

虫川 不動滝

 





糸魚川は世界に誇るジオパーク。ぎゅっと小さな場所に変わった地形や沢山の岩石が揃っており、登山の楽しみ方の幅もとても広い。例えば西から子不知付近では花崗岩、青海黒姫山は石灰岩、千丈峰は流紋岩質の凝灰岩(多分)といった具合に高々10㎞未満で信じられない程の多様な様相を見せる。

虫川不動滝はいずれ登りたいと思い続けていたが、これを喜んで登る仲間がいないまま幾星霜。遠方から友人の嬉しい来訪により積年の想いが叶った。

滝を目の前にして流水右側は20mくらいは登り易そうに見えたが、上部の緩傾斜スラブは非常に渋そうだ。大人しく右手のブッシュ帯から一段目を登り始める。出だしから思いのほか悪い草付きを登ってから滝の右のブッシュへ行く。そこから一段目落ち口手前へ水流を跨ぎ落ち口へ。カンテを跨ぐのがやや悪く思い切りがいる。プロテクションはまずまずなので一手勇気を出して。2段目は小さい滝であるものの、これも意外に悪く1段目落ち口から左側へトラバースしてちょっと岩の混じる灌木の急斜面。見た目は冴えないが、何故か岩の箇所では多彩なムーブを楽しめて面白い。3段目は取り付く島もない滑らかな美しい滝。2段目を登った左からそのまま上がり、落ち口目掛けてルンゼを跨ぎ右にトラバースする。最後は美しく落ち口へと出られる。3段目は難しいが1,2段目はもしかしたら水流付近を登れるかも知れない。クライミングに自信のある方は是非。お隣の糸滝と合わせて登るのもいい。

不動滝はスベスベで異様にフリクションが乏しい岩からなる。紀伊半島の岩に似ていると友人の談。確かに高圧変成していそうな雰囲気である。はて、頸城では珍しいなぁと感じて帰宅後に地質図を確認して驚愕。チャートおよび混在岩、ペルム紀の付加体とあるではないか!!あのスベスベ箇所はチャートに違いない。チャートの大滝は北陸では珍しいのではないか。奥美濃の冠山南壁もチャートだったけどあの辺にもあるのかしら。とまれ、不動滝は頸城の多様性と糸魚川ジオパークの滋味を存分に味わうことができる大滝なので是非登ってもらいたい。

<アプローチ>
青海から行くならば岡倉谷林道を利用する。千丈峰の大ギラ、小ギラ、中ギラのスラブを見物しながらの運転は楽しい。ただ、ちょっと運転距離が長くなるので虫川集落から行く方が合理的かも。登攀終了後は林道へ出て歩いて帰るのがいい。

<装備>
カム一式、ピトン数枚、クライミングシューズの必要性はラインによる。筆者はフェルトで登った。

<温泉>
帰りしなならば、朝日町の境鉱泉、たから温泉、地中海などナトリウム泉の温泉がある。500円くらいで入浴可能

<快適登攀可能季節>
6月~11月。虫が少なく快適な時期がよい。水を積極的に浴びなければ秋の紅葉と合わせてもいい。

<博物館>
糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

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