2022年10月3日月曜日

小滝川西俣沢726m右岸支流右俣 1170m右俣

 




























 途方もない課題を前にしたとき、無かったことにしたい気分になる。小滝川西俣沢を知るのは難しい。地形図を眺めてもどれが本流筋なのか判然としないし、支流の数が以上に多い。しかも支流すべてが面白そうな地形をしており、一体全体どこから手を付けていいやら途方に暮れる。それに加えて各支流に名前がついていないので親しみが湧かず捨て鉢な気分になる。いや、こんな漫然とした逃避を続けてはならぬ。痛みを伴わなければデフレ脱却はできぬ。衛星写真観察政策により状況打開を図ったところ、どの支流にも鮮明に連瀑帯が映っている。その中でも一際目立つ支流が表題の沢であった。

 地味に悪い巻きとなる2基の堰堤を越えてじゃぶじゃぶ進み726mを左に入る。ここから右俣に入るまでは全く問題ない。右俣に入ると爽快な小滝が幾つか続く。確かノーロープで楽しく登ったと思う。1090m(二俣付近)の広場は見ての通り雪渓が残る地形である。スノーブリッジを潜り抜け右俣の出合となっている5m滝に取り付くがここは岩が脆く傾斜も強いのでロープを出したいところ。クラックは硬くカムが良く効く。ここから一切川原を挟まない怒涛の連瀑帯である。滝芯をロープを出して登る滝も多いし、直登叶わず巻きのライン取りに思案することも有る。救いは全く手が付けられない代物は一つとしてなく、ほどよい緊張感が丁度いい時間続くこと。登るだけでも楽しい沢なのだが、明るい草付きのV字と斜瀑の景観も絶景で激情スパーキングインフレーションしっぱなし。相対的表現をするならば谷川岳の景観をそのままに、えらいV字渓谷にした感じ。岩質は地質図では堆積岩となっているが誤りだ。浅薄な観察ではデイサイト、安山岩といった火山性の岩石と推定したところである。調査が困難な場所なのでまだGSIの手が及んでいないのであろう。2010年に地質図説明書が発行されているが次回改訂の際には是非調査していただきたい(果たして何十年後なのだろうか)。1180m二俣は衛星写真で一層連瀑と見えた右俣に入る。左俣はガレ沢で殆ど水が流れていない。期待通りの連瀑をウハウハで登り続け1360m二俣に到着した。左俣は壁になって消えると予想されたので簡単な右俣へ進むとヤブコギも楽勝で登山道へ出た。

 スーパー嬉しい楽しい沢であるが核心部は短いかもしれない。富山からならいざ知らず、遠方からこの支流を狙うのは山域への深い愛情が必要かもしれない。では、僕は西俣沢のすべてを知るに足りる愛があるのか。これを機にこれから前向きに関係を深めさせていただく所存です。

<アプローチ>
小滝川発電所から先はゲートがあり封鎖されている。ここに駐車して入渓。林道を1時間半弱歩く。増水に耐えられる安全な幕営地は無いので好天が約束されたタイミングで臨みたい。快適な場所は1180m二俣で、ここは水量の少ない左俣から押し出された流木が豊富にある。これより上部に薪があるところはない。下山は中俣新道を活用する。全体的にやや藪っぽいが踏みあとは明瞭で案外下り易い登山道である。

<装備>
カム一式、ピトン少し。核心の上部がぬめるのでフェルト一択。

<快適登攀可能季節>
9月~10月。残雪が多いとかなり厄介だし、暑すぎても困る。

<博物館>
糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

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