2016年8月18日木曜日

巻機山 五十沢本流
























クライマーが大好きな花崗岩は太陽系では地球にしか現存しないという事をご存知だろうか。玄武岩質のマグマがプレートへ沈む込む際に水を含んで、融解し花崗岩質マグマとなり、ゆっくり冷える事で結晶を含んだ花崗岩となるそうだ。つまり花崗岩は水が存在しなければ出来る事はないのだ。そして比重の軽い花崗岩が大地を創り地球に大陸を生み出したという。水と大地と遡行者は地球ならではの熱い三角関係なのである。因みに、かつて水が存在した火星は、花崗岩が存在した可能性があるが激しい温度変化のため岩石はその姿を保つことなく砂の大地である。

五十沢は訪れる遡行者が一体何者であるのか詰問し続けてくるような渓である。その問いに答えるべく、我々は激流を泳ぎ、滝を登り側壁を攀じり、藪を掻き分け渓の最後の一滴を求める。
不動滝の5.10a程度のフリークライミングに始まり、続く夫婦滝をテクニカルな人工登攀で突破すると延々と続く花崗岩の大ゴルジュ帯に入る。下部ゴルジュは明るく朗らかな雰囲気だが、積極的に泳いで突破しなければ進む事は出来ない。側壁は高く巻きのラインもセンスが問われる。先人の記録よりも自らの感性を信じて登ろう。上部ゴルジュは井戸底のように暗くおどろおどろしい。狭い水路は突っ張りで流れをかわしながら突破する。永松沢に入っても気が抜けない滝が続くので油断しないようにしたい。藪を掻き分け登山道に出ると稜線は池塘が点在する美しい平原が迎えてくれる。最初から終わりまで一切の緩み無い素晴らしい渓谷であった。

だが五十沢の問いにはまだ答えられそうにはない。曲がりくねった回廊の先に何があるのか、そこで自分は何が出来るのか。ただ好奇心の奴隷として流れに逆らい続ける他は無いようである。

<アプローチ>
五十沢キャンプ場から天竺の里まで車を入れて裏巻機の登山道を利用し不動滝まで歩いて遡行開始。早朝に出発する場合には、五十沢キャンプ場に予め連絡を入れておくと、ゲートの鍵を開けておいてくれる。稜線に出てから牛ヶ岳まで笹薮のヤブコギ。うっすら踏み跡があるのでそれ程苦にはならない。4合目から2合目取水堰堤までの登山道は激悪で注意が必要。泊まり場は2合目取水堰堤、4合目、東沢出合、巻機沢(本谷沢)出合、下カケズ沢周辺(増水には耐えられない)、永松沢出合くらいではないか。
富山からは国道8号線で上越まで行き、国道253号線を利用すると早くて安上がり。もちろん上越までは高速を利用すると更に早い。富山から総て下道で4時間30分くらい

<装備>
花崗岩なのでアクアステルスが有効。不動滝の登攀にはフラットソールが有れば心強い。カムは#3まで1セット、トライカムを少々、ナッツ一式、ピトン各種。ロープはダイナミック50m1本と同じ長さのフローティングロープがあると泳ぎや懸垂に便利だ。

<快適登攀可能季節>
8月~10月。水量の多寡によって難易度は大きく変わる。残雪の量も水量に影響するだろう。秋の方が勝算が高いだろうが寒いと思う。相当頑張れば3泊4日で遡行可能だと思おうが、5日間の日程は欲しい。出水が速いので全日晴天が望ましい。

<温泉>
五十沢温泉:700円とお高めだが天然温泉だしリゾートと思えば悪くない。露天は混浴。
湯らりあ:六日町リーズナブルな銭湯。石鹸は持参

<博物館など>
絵本と木の実の美術館:廃校になった小学校を利用した美術館。とっても面白いのでいってみよう。ヤギが三匹いて触れ合おうとしたらド突かれた。要注意

越後湯沢雪国館:川端康成がボンボンでどうしようもない奴だったのではないかと思ってしまう

棟方志功アートステーション:道の駅の二階にあるので入ってみると良いと思う。

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