2018年2月5日月曜日

戸隠 九頭龍山左稜















戸隠山塊において戸隠山からの五地蔵岳までの区間を「表山」と呼称する。表山は小さな尾根が乱立しており概念把握が難しい。本院岳ダイレクト尾根を代表される西岳周辺の尾根よりマイナーなのは、解り難く情報が無いためであろう。しかし各稜の難しさは西岳に勝るとも劣らない。いや、西岳より難しいと思う。表山の雪稜はフリークライミングの要素が強く、先人の足跡も当てにならない。すべては現場判断だ。九頭龍山を巡る尾根のなかで代表的といえるのは東側から順番に丸山から伸びる九頭龍山東稜(右稜)、巨大な岩峰を5つ擁するドーム稜、平原の1258m地点から続く九頭龍山左稜である。このうちドーム稜は調べた限りでは未登のようである。

さて、九頭龍山左稜である。取り付きの尾根は二分されており、右側の尾根から取り付くと合流するまでに少し急峻なところがある。尾根の傾斜が増してきたら、弱点である右側のルンゼを草付きダブルアックスと木登りでやっつける。ここからキノコ雪を崩して乗り込んだり、回り込んだりする雪稜を5Pほど楽しめる。やがて草付きの快適凹状を登ると岩場に当る。支点が取れず少し怖い左トラバースから傾斜の強いルンゼを登ると一旦傾斜がゆるくなる。ここから幕営には丁度よい場所がいくつかある。再びキノコ雪地帯となり、右に左にクライムダウンも交えながら可能な限り稜上を進む。稜にあがる手前最後の岩峰は稜づたいから右寄りが弱点となるだろう。稜に乗りあがると北面が傾斜が緩いのに驚く。非対称な山稜はどのように出来たのであろうか。興味深い。

九頭龍山左稜は東稜(右稜)よりワンランク易しい。果てしないキノコ雪の処理は比較的少なく、ダブルアックスでぐいぐい登る場面が多い。下降可能なルンゼも多いので天候が良いタイミングで気軽に取り付いてはいかがだろうか。


話は変わって未登を誇るドーム稜、これを足下とする人類は現われるのだろうか。




登る人は可能な限り自然に敬意を払ったスタイルでよろしくね。

<アプローチ>
戸隠キャンプ場に駐車。スノーシューハイキングも盛んな場所なので意外に車で一杯になる。注意しよう。下降路は雪の状態次第で同ルート懸垂をして左稜とドーム稜間のルンゼを下降すると早い。雪が多い場合は1857mピークから大洞沢へ下りる尾根を利用することになる。幕営場所は適当な間隔で割合快適な場所が得られる。懸垂下降で安全圏に下りるのは難しくは無い。修行の場としては最高である。

上信越道利用ならば市内から入山口まで3時間ほどで到着する。国道8号から18号経由でもしっかり除雪されおり、深夜~早朝であれば時間はかからない。

<装備>
スコップは登攀具として必須。キノコ崩しはもちろん、段差を乗り越す時にはピッケルよりも安定感がある。不安定な場所で振り回すので要バックアップである。アックスはひん曲がったタイプでもいいかも。真っ直ぐのタイプであれば、リューシュが有ると楽だ。藪が発達しているので支点はスリングのみでよい。

<快適登攀可能季節>
2月~3月上旬。

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