2018年10月16日火曜日

赤摩木古谷








秋は県西部、特に白山山系の山へ登りたくなる。豊かな植生を楽しみ、美しい紅葉を愛で、倒木をまさぐり恵みを頂く。水も空気も冷たいけれども、残雪は無くなりこの山域で最も沢登りが楽しい時期である。

赤摩木古谷は境川の最下流にある支流である。かつて桂の集落からタカンボウ山へ登る道が有り、赤摩木古谷は紅葉を楽しめる名所であったと何かの本で読んだ記憶がある。今は入渓点となる集落はダムに沈んでしまってしまい、取り付くには支流を下降することになる。遡行でポイントとなるのは二段滝の登攀だ。程よい緊張感が味わえるのでここは直登したいところである。意外なことに以降しっかりとした堰堤が3基現れる。かつて下流の桂集落を守るために造られたのであろう。散発的に現われる小滝で遊びながら赤摩木古山の肩まで藪漕ぎは無く登山道へ出ることが出来る。秋にもかかわらず稜線付近の木々と下草に新芽が多いのは動物が食べたためだろうか。山頂は天気の良い日には賑わっていて実にいい雰囲気であった。この谷は境川支流の中では易しいのでさほど気負わず取りついてもいいと思う。

赤や黄に飾る山を眺め、山での風景に浸っていると「みる」という事の面白さにうきうきしてくる。見る、観る、診る。youtube等動画が全盛の時代だが、山の中で作為と意志も無いただの存在と営みを主体的に解釈する時間と言うのも良いものだ。して、その視覚情報入力の起点たるや、レチナール分子のシスートランス異性化反応のみという生物の巧妙さにも改めて感動する。秋の山はちょっと時間に余裕を持って山を楽しむのが粋である。


<アプローチ>
ブナオ峠から登山道マークの付いている所まで林道を歩き、赤摩木古谷の支流の沢を目掛けて適当に降りる。この支流の上部沢筋は水が無い。上手くやり過ごせば懸垂無しで赤摩木古谷へ降りる事が可能だ。下山は登山道を利用すると早い。ブナオ峠まで富山市内からおよそ1時間半。

<装備>
沢慣れしたパーティーであれば多分何もいらない。二段滝の登攀に小さめのカムとピトンがあれば十分確保できる。

<快適登攀可能季節>
8月下旬~10月の紅葉の時期に行きたい。早い時期だと残雪が残っているとおもう。

<温泉>
くろば温泉:国道横にある温泉。立地が良くいつも混雑している。600円也
五箇山荘:国民宿舎のこちらは静かで綺麗な温泉。500円也。

<グルメ>
高千代という猟師の店が有る。熊、猪、鹿は当然。なんとハクビシンも味わえる。
春には山菜、秋にはきのこと折々の味を楽しめる。お勧め。

<博物館など>
世界遺産の五箇山集落に古民家があり歴史を学べる。平家の落ち武者によって拓村された。囚人を幽閉する場所でもあった。古い流刑小屋もあるので立ち寄ろう。江戸時代には、加賀藩の火薬庫で塩硝を製造していた。ブナオ峠から火薬を運搬していたのだろうか。そんな思いを馳せながら山を楽しもう。

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