2020年7月23日木曜日

安曇川 貫井谷










鰤街道、ノーベル街道といった俗称街道名が付いている道は野暮ったいなあと思いつつも訪れたくなる。というのも、その道のキャラを上手く表現している、或いは無理やりこじつけようと頑張っている妙味があるから。先述の鰤街道はご存知、越中から飛騨を経て信濃へ至る街道であり、年越しの縁起物であるブリを塩漬けにして運んだ道である。北陸で魚に関する街道といえばとして鯖街道も忘れてはならない。鯖街道は敦賀・若狭で獲れた鯖を京都へ運搬する道で何本か存在するが、水坂峠と花折峠を通る若狭街道がメインルートだったようだ。こちらは塩漬けだけではなく、腐敗しやすいサバを糠に漬け、「へしこ」に加工して運搬した。魚種の貫禄と運搬距離、加えて道中の困難さを鑑みて鰤街道へ肩入れしたくなるが、青魚の発酵技術と都へ届ける道という点で鯖街道もやはり面白い。

鯖街道沿いを流れる安曇川支流の貫井谷はシャワークライミングが存分に楽しめる秀渓。岩の質は分からなかったが、高圧がかかってそうな磨かれた硬い岩なので遡行はすこぶる快適である。しかし、シャワーでのフリークライミングといっても5m以下の小滝ではなく、10m以上の滝も多いので油断ならない。加えてロープを出すか迷うような難しさなので、うっかり事故が多発しそうな谷ではある。終盤まで滝は続くものの、藪漕ぎは無く比良山脈最高峰の武奈ヶ岳へ至る。武奈ヶ岳はとても親しまれている山のようで大賑わいだ。集水面積が少ないので、多少の降雨でも登ることができる谷だろう。渇水時では盛り上がりに欠ける可能性が高い。雨期の中休みにはぴったりの沢かもしれない。

若狭から鯖街道を辿り、比良山脈を越えて高島方面へ抜け、魚食文化を調査するのも興味深い。若狭湾~琵琶湖の淡水魚食も併せて楽しむような、歴史ロマン旅の一環として遡行してはいかがでしょう。

<アプローチ>
国道8号で敦賀まで行くのは信号が多くつらいものがある。高速利用ならば敦賀インターまでおよそ2時間。国道367号線を経て貫井谷出合いにある漁協の無料駐車場に駐車。下降は武奈ヶ岳北西に伸びる706m表記がある尾根を利用するが、赤テープも踏みあとが途切れがちで迷いやすい。それでも、藪が薄くどこでも降りられるので慎重に読図すれば苦労は無い。

<装備>
カム少々か適当にパッシブプロテクション。

<快適登攀可能季節>
4月~11月 良く解らないけど残雪は少ないし暖かそう。

<博物館など>
若狭三方縄文博物館:建物がモダンな設計である。そのため、全国各地にある縄文系博物館にありがちな寂れた感は全く無いのでそれだけで嬉しい。また、寂れた博物館に有りがちな「はい、並べました」的な展示では無い。美しくて解りやすくて楽しいのである。最近の縄文ブームで訪れる人が増えるかもしれない注目の博物館である。

福井県年縞博物館:水月湖の湖底には7年を正確に測る物差しがある。それが年縞である。2018年に開館した新しい博物館で、年縞実物が45mに渡って展示され、この7万年間の日本列島で起こった出来事が詳細に解説されている。7万年の地球活動の解説7万年の旅が45mで可能ってすごい。この水月湖の成り立ちに鯖街道が実は深く関わっているのだ。

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