2024年7月22日月曜日

太田切川 屏風岩沢













 太田切川の中で最も名声を得ているのが梯子ダルである。他にもこの水域に数多ある大滝にも目にもくれず謎の沢へと吸い込まれていしまうのはどういうことなのだろう。太田切川の上部には東川岳バットレスと記載される謎の岩壁がある。その横を流れる屏風岩沢はルンゼ登攀やら困難やら大系に記載があるので見に行くことにする。

 太田切川本流は出だしで巻きが入るが、以後は基本沢通しで進む。割合水量が多く渡渉や飛び石がスリリングで楽しい。ゴルジュが終わると支流滝の博覧会スタート。右に左に登ったら楽しそうな支流が20m以上の滝で落ちまくる。一つ一つの支流の名前は忘れたがどれを登っても楽しそうだ。やがて本谷がガレで埋め尽くされるようになる。グングン標高を上げて息が上がるのが心地いい。岩盤となる花崗岩は暗色包有を含んでいる。北アルプスでは篭川や棒小屋沢で有名だが中央アルプスにも存在を確認できてうれしい。
 屏風岩沢に入っても大系の遡行図とは内容が大きく異なり大体はガレ。序盤にクライミングっぽい連瀑が現れるが問題ない。東川岳バットレスは荻原沢上部の壁を少し小さくした雰囲気である。天気が悪く時間も遅いし、何となく来て登れる壁でもなかったので屏風岩沢を引き続き堪能することにする。バットレスの横チムニー状の明らかに悪絶な涸滝がこの谷の最大風速地点である。チムニー状を登るにはキャメ#6レベルが必要そう。そんなもん持ち合わせていないので、右岸の凹状から登る。期待にそぐわぬ岩の脆さと草付きと泥でお化粧しているのが愛くるしいポイント。プロテクションワークとお掃除力が問われる香ばしいクライミングである。登り切ったらわざわざもう一度谷に戻るより尾根を上がって稜線に上がる方が合理的である。幾ばくもなく登山道へ出られる。

下部から上部は基本歩くだけなので遡行スピードは爆速化する。一日で登り切れてしまうので東川岳バットレスや他の沢と抱き合わせでどうぞ。

<アプローチ>
空木岳登山口の駐車場(スキー場)に駐車する。そこから歩くかバスに乗って檜尾橋まで行き、取水堰堤への道を利用して入渓。広い地形にも見えるがゴーロと土砂のため幕営適地は少ない。上部に行くと本当になくなるので注意。木曽殿越から本谷を下降するのは容易なので、下部にベースを張って翌日もう1本登るのがいい。最終下山は登山道を使用するのが安牌。

<装備>
カム一式、ピトン各種(ナイフブレード多め)、トライカム、あぶみ。足回りはラバーが有利

<快適登攀可能季節>
7月~9月。標高が高いので秋は寒さに注意。

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